2020年、新型コロナウイルス感染拡大を機に、世界的に人々の生活スタイルが大きく変化しました。この動きをとらえ、収益につなげることが出来た企業と、行動制限などの影響を大きく受けて苦戦した企業の株価は、大きく異なる結果となりました。
新しい生活スタイルをうまくとらえたハイテクなどの企業の株価を、ハイテク企業が多く含まれるNASDAQ指数の値動で見ると(左グラフ)、コロナ・ショックで落ち込んだ後、6月には同ショック前の水準を回復し、その後も高いパフォーマンスを示しました。
一方で、行動制限などにより、ショッピングモール、ホテルなどの施設は厳しい運営を迫られました。そうした施設を保有し、賃料の獲得を目指すREIT(不動産投資信託)の指数は、コロナ・ショックで大きく落ち込み、その後も戻りの鈍い展開となりました。
【ワクチン接種の進展が流れを変える】
2020年秋以降、新型コロナウイルス向けのワクチンの開発や接種が進展し始めると、新規感染者数が抑制され始め、経済活動再開への期待が高まりました。また、各国で経済対策が打たれたことなどにより、景気回復期待が高まると共に、一部の国では長期金利が上昇傾向となりました。
この流れを受け、株式市場では、高PER(株価収益率)のハイテク株から景気回復の恩恵が期待される銘柄へ資金がシフトし始め、2021年2月中旬から、それまで株価上昇が大きかったNASDAQ指数が軟調な動きとなる一方、出遅れてきたREIT指数は堅調な推移となりました。
REITは、経済活動再開への期待に加え、コロナ禍におけるeコマース拡大で物流施設の稼働が増えたこと、テレワークやいわゆる巣ごもり需要とされる、ネットゲーム、動画ストリーミングなどの普及でデータ量が増加し、データセンターなどの稼働も増加したことなどが評価されたものと考えられます。
【安定した分配金が期待されるREIT】
保有する不動産からの賃料収入をもとに、収益の大半を投資家に分配するREITは、本来安定した収益が期待できる投資先の一つです。新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態で価格は大きく落ち込みましたが、賃貸契約は中長期のものが多く、収益への悪影響は市場の懸念ほどではありませんでした。
REITの分配金利回りは、REIT価格との兼ね合いで上下しますが、分配金額は比較的安定して推移することが期待され、REITは中長期での投資対象として、魅力があると考えられます。
![【図表】[左図]主な株価指数とREIT指数の推移、[右図]REITの分配金利回りと価格の推移](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-1708.jpg)
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