2021年に入り、米国を中心に長期金利の水準が上昇したものの、中国では2月、日本では3月に主要株価指数が数年来の高値をつけ、4月にはドイツ、5月には米国の主要株価指数が史上最高値を更新するなど、世界的に株価は概ね堅調です。

こうした株高を支えている主な要因は、業績見通しの改善です。下のグラフのとおり、米長期金利の上昇が足元で一服となっているのと対照的に、主要株価指数の予想EPS(1株当たり利益)は昨年、底打ちして以降、上昇を続けています。特に米ナスダック総合指数の足元の予想EPSは、コロナ・ショック前の水準を大きく上回っており、同指数が世界的な株価上昇をけん引してきたことも頷けます。一方、中国の場合、業績予想の改善が緩やかですが、コロナ禍による業績の下振れが限定的だったことなどが影響しているとみられます。

そして、予想PER(株価収益率)の低下に見られるとおり、業績予想の改善などに伴ない、各指数とも足元で割高感が和らいでいます。

現在は、感染の抑え込みでいち早く成果をあげた中国や、ワクチン接種の普及が進んでいる英・米などが、景気回復で先行している状況です。しかし、今後、他の国・地域でもワクチン接種が進み、経済活動の正常化が徐々に拡がるに連れ、景気・企業業績の改善が勢いを増し、株価のさらなる上昇をけん引すると期待されます。

なお、いわゆる「金融政策の正常化」に舵を切る国も早晩、出始めると見込まれます。ただし、これは、コロナ禍対応で超緩和的となっている金融政策の手綱を正すものであり、景気の回復状況などを見極めながら、慎重に進められるとみられ、金融引き締めとは区別すべきと考えられます。

【図表】[左図上]主要株価指数の予想EPS*と米金利の推移、[左図下]主要株価指数***と予想PERの推移
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。