2020年、新型コロナウイルス感染拡大の抑制をめざして世界的に行なわれた行動制限により、経済活動の低迷が懸念され、世界の株式市場は3月にかけ大きく値下がりしました。

その後は、落ち込んだ産業がある一方、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が急速に進んだ流れを受け、市場では新たなサービスを手掛ける企業が選好されました。また、いち早い回復を見せた中国経済から好影響を受ける半導体やハイテク、資源関連などの株価が堅調に推移しました。

さらに、2021年に入ると、米国におけるインフレ懸念の高まりなどから長期金利が上昇し、ハイテク企業が売られる一方で、景気敏感株が買われるなど、市場の物色は目まぐるしく変化しました。

【日本でも物色は大きく変化】
日本の株式市場でもグローバルな流れを受けて市場の物色は変化し、業種別の騰落率は目まぐるしく変わりました。

下図で取り上げた業種は東証第一部の構成上位6業種(2021年5月末現在、東証33業種ベース)であり、その時価総額比率は東証第一部の50%を超えています。これらの月次騰落率を見ると、サービス業や輸送機器など比較的値動きが大きい業種がある一方で、小売業など安定した推移を見せる傾向がある業種など業種による違いがうかがえます。

また、相場が大きく変動した期間を除くと、構成上位業種すべてが上昇/下落している局面は少なく、市場全体の平均値であるTOPIXと同じ動き(傾向)をしているわけではありません。

【必ずしも万能ではないインデックス投資】
株式投資には、市場の平均値との連動を目指すインデックス型の運用手法だけでなく、個別銘柄などに注目し、適宜、投資先を見直して投資を行なう手法などがあります。

どのような運用手法を採っても、投資成果は事前にわからず、それぞれの手法ごとに良さと悪さがあることから、優劣を付けられるものではありません。

インデックス型の運用では、プラスでもマイナスでもインデックスと同様の成果が期待される反面、インデックスを上回ることは期待できません。こうした特性を踏まえると、市場の物色対象を選別して投資を行なう手法にも一定の妙味があるように思えます。

【図表】TOPIXと東証第一部業種別指数(6業種)の月次騰落率の推移
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません