世界市場の成長のけん引役は中国
脱炭素のトレンドを受け、再生可能エネルギー市場が拡大しています。IEA(国際エネルギー機関)は、先日発表した「再生可能エネルギー市場アウトルック2021-2022」の中で、2020年はコロナ禍で供給網の混乱や建設の遅れがあったものの、再生可能エネルギーの発電能力の伸び率が1999年以降で最大となったことを明らかにしました。そして、今回、発電能力の伸びの50%を占め、成長のけん引役となったのは中国でした。

再生可能エネルギーの中でも、特に成長が期待されているのが太陽光です。IEAの事務局長も、太陽光が世界のエネルギー市場の「新たな王様」になるとみていると述べ、政策面での変化がない限り、2022年以降、発電設備の普及により毎年記録を更新するとの見解を示しています。中国は、この太陽光発電設備の年間導入量および累積導入量において、2位の米国に大きな差をつけ、世界でトップとなっています。また、2018年の世界の太陽光パネルのモジュール*生産量ランキングでは、トップ10のうち半数以上を中国企業が占める**など、製造面でも重要な役割を果たしています。
太陽光パネルを構成する部材のひとつPVTECH(Solar Media社)のデータに基づく

国を挙げて推進を図る中国
習近平国家主席が、2060年までに、CO2(二酸化炭素)の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すと表明したことを受け、中国では、太陽光などを中心とした再生可能エネルギーの活用が、今後一層促進されると見込まれます。なお、今年発表された第14次5ヵ年計画(2021-2025年)では、向こう5年間で、GDP1単位当たりのCO2排出量を18%、エネルギー消費量を13.5%引き下げる方針が示されています。目標達成に向けて、官民一体となって取り組む中で、中国企業は、今後一段と技術力を向上させていくとみられます。そして、脱炭素化のトレンドを背景に、世界的に再生可能エネルギー関連設備への投資拡大が見込まれることなどから、太陽光発電関連で競争力のある中国企業は、この先、国内だけでなく、国外においてもビジネスチャンスを拡げていくことが期待されます。

米中間で覇権争いが繰り広げられる可能性
米国では、バイデン政権のもとパリ協定への復帰を果たしたほか、環境・インフラ部門への積極的な投資でクリーンエネルギー産業を支援する方針が示されています。この先、再生可能エネルギー分野おいても米中間で覇権争いが繰り広げられる可能性には注意が必要ですが、ハイテク分野とはやや異なり、中国企業は既に大きく成長しており、再生可能エネルギー市場の更なる発展を視野に、世界の株式市場において、中国企業を中心に関連銘柄への資金流入拡大が期待されます。

【図表】[左図]太陽光発電システムの国別導入量、[右図]中国の主要太陽光発電関連メーカー
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