世界で普及が加速するEV
世界で脱炭素の流れが加速する中、温室効果ガスの排出量削減に向けて、世界でEVの導入が加速しています。IEA(国際エネルギー機関)が4月に発表した「グローバルEVアウトルック2021」によると、世界におけるEVの販売台数*は、新型コロナウイルスの影響で、自動車全体の販売が落ち込んだにもかかわらず、欧州と中国がけん引役となり、前年比+約40%と急増しました。また、IEAは、2030年までに世界中で走行するEVは、バン、大型トラック、バスなどを含めて1億4,500万台に達するとの見通しを示しました。さらに、各国政府が温室効果ガス排出量削減の目標に向けた取り組みを現状よりも加速させた場合、2億3,000万台に増えるとしています。
BEV(バッテリーEV)およびPHEV(プラグイン・ハイブリッド自動車)
EV普及の背景
そもそも、EVの販売台数が世界的に拡大している背景として、①バッテリー価格の低下、②各国における政策の後押し、③EV車種の多様化、などが挙げられます。①については、EVの生産コストの約3割を占めるとされ、車載用バッテリーの主流となってきたリチウムイオン電池の価格が、この10年で大きく低下しました。そして、技術革新などを背景に、近い将来、EVがガソリン車とほぼ同じコストで製造できると見込むメーカーも増えているようです。②については、各国政府が、温室効果ガスの削減目標を掲げる中、日本をはじめ多くの国において、EV購入時に補助金制度を設けるなど、普及に向けて様々な支援が行なわれています。③については、各メーカーによるEVへの積極的な取り組みに伴ない、車種が拡充され、ユーザーニーズに対応しやすくなってきています。なお、IEAによると、2020年に中国、欧州、米国で、最も普及したEVの車種はSUV(多目的スポーツ車)でした。
EV関連分野で存在感を示す中国
近年、EV分野で存在感をみせているのは中国です。世界最大のEV市場となっているだけでなく、中国では、EV関連企業の急速な成長がみられます。ブルームバーグNEFの調査では、リチウムイオン電池に関して、中国が、世界の電池生産能力の7割強、部品製造の約6割を占め、サプライチェーン市場で特に強さを誇っていることが指摘されています。この10年間で大きく成長したCATL(寧徳時代新能源科技)は、EV向けバッテリー市場でトップシェアを獲得するほどです。また、EV自体についても中国の新興企業が、「テスラ」に続けと、競争力を高める状況がみられます。
なお、温室効果ガスの削減において果たす役割を最大限に活かすためには、発電時から化石エネルギーでなく、再生可能エネルギーの利用が求められます。中国が、太陽光をはじめとして、再生可能エネルギー市場のけん引役となっていることも、今後、中国のEV関連分野の発展を後押ししていくと考えられます。この先、EV関連分野の発展に伴ない、株式市場において、中国を中心に様々なEV関連銘柄に投資家の注目が集まっていくと期待されます。
![【図表】[左図]世界におけるEV普及の推移、[右図]EV向けバッテリーの市場シェア](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-1717.jpg)
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