今年に入り、民間企業による有人ロケットの打ち上げや火星・月面探査など、宇宙関連の話題が増える中、ビジネスとしても関心が集まっています。

設立から20年弱のベンチャー企業が躍進
宇宙関連ビジネスは、膨大なコスト負担などを理由に米政府がスペースシャトルの運行を終了させたことや、イノベーションにより技術が向上したことなどから、米国の民間企業を中心に、この20年弱で急速に成長しています。同分野に従来から携わる航空大手企業に加え、最近では、再利用可能な有人ロケットの打ち上げを成功させたスペースXやブルー・オリジン、商業宇宙飛行を目指すヴァージン・ギャラクティックなど、2000年に入って設立された若い企業が存在感を示しています。

昨秋以降、IPOの動きも加速
こうしたベンチャー企業の躍進を支えているのが、同分野への出資拡大の動きです。技術開発・事業運営に多額の資金を要する宇宙関連ベンチャー企業の主な資金源は、ベンチャーキャピタルからの出資となっており、米国では2017年以降、資金調達金額が急拡大しています。

また、昨秋以降は、上場手続きが比較的容易なSPAC(特別買収目的会社)という仕組みを活用してIPO(新規株式公開)を目指す動きが相次いでおり、事業内容も、ロケットや人工衛星の打ち上げにとどまらず、衛星データ分析や技術開発など様々です。世界の宇宙関連大手との事業連携や通信大手企業などからの出資などの動きも進んでおり、資金調達の多様化によって宇宙関連ビジネスの実用化が加速することで、利用ニーズ拡大への期待も高まっています。

人工衛星ビジネスがいよいよ本格化
宇宙関連ビジネスの中でも実用化がもっとも進む分野が人工衛星ビジネスです。IoT(モノのインターネット)やDX(デジタル・トランスフォーメーション)の進展により通信ニーズが急増する一方、基地局が建てられないなどの理由から、地球上の約4割の地域はインターネットがつながらない状況です。そこで、多数の小型衛星を打ち上げ、地球を取り囲む通信ネットワーク網(衛星コンステレーション)の構築が急速に進められており、一部ではサービスが開始され、来年にはさらなる拡大が見込まれています。

また、これに付随して、ロケット打ち上げや地上設備への需要も高まっているほか、小型衛星から得られる高精度な位置情報を利用したサービスや、地表データを活用したビジネスにも注目が集まっています。農業や漁業、環境などの保全・管理、人の動きをデータ化したマーケティングへの応用など、これまで把握できなかったデータを活用した新たな可能性も期待されています。

ここまでの宇宙関連ビジネスの進展スピードには、目を見張るものがあります。資金調達拡大も背景に、ビジネス本格化の動きは、私たちが思うよりも早いかもしれません。

【図表】[左図]米国での宇宙ベンチャー企業への出資金額の推移、[右図]宇宙関連企業による主なIPO
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