日米の家計の金融資産はいずれも、政府による現金給付や、株高による資産価値の上昇などを背景に、過去最高額を更新中です。2021年3月末時点の規模(左下グラフ)は、日本で約1,946兆円、米国では約109.6兆米ドル(約1.2京円、3月末の1米ドル=110.72円で換算)となっています。ただし、それぞれを2000年末の規模と比較(中央グラフ)すると、日本では約1.4倍なのに対し、米国では約3.2倍にも膨らんでおり、拡大ペースに大きな違いが見られます。

米国の家計の金融資産の伸びが相対的に高い背景の1つとして、小さい頃からお金や投資についての教育を受ける機会が多いことなどを背景に家計が資産形成に積極的なため、運用リターンの成果を享受していることが挙げられます。米国では、家計の金融資産に占める株式・投信の構成比が4割を超えているだけでなく、保険・年金部分においても、確定拠出年金制度を通じて投信が積極的に活用されています。

これに対して、日本の場合は家計の金融資産の半分強を現金・預金が占め、株式・投信は13%程度にとどまっているため、運用リターンの成果は米国と比べて限定的となりがちです。

もちろん、投資にはリスクがつきもので、運用リターンは市況などにより変動します。ただし、一般に、投資対象を分散することにより、リスクも分散されるほか、長期投資によって運用リターンは安定化するとされています。また、国内資産に限らず、海外資産にも投資すれば、世界経済の成長の果実を得やすくなると考えられます。

このように、リスクを抑えながら行なう長期投資の一例が右下のグラフの赤い線です。この例では、2000年末に内外の主要6資産に等金額投資を行なった結果、足もとの評価額は約3.6倍に膨らんでいます。こうしたシミュレーションや家計のリスク許容度を踏まえ、単に現金・預金を積み上げるのではなく、「おカネ」を投資に振り向け、働いてもらうことを検討してみてはいかがでしょう。

【図表】[左図]日米の家計金融資産の構成比、[中央図]日米の家計金融資産の推移、[右図]長期分散投資のシミュレーション
  • 上記は過去のものおよびシミュレーションであり、将来を約束するものではありません。