6月の世界の株式市場は、景気回復期待などを背景に、半ばにかけて堅調に推移しましたが、米国のFOMC(連邦公開市場委員会)で、資産購入規模の縮小(テーパリング)に関する議論開始が示唆されたことや予想よりも早い利上げ見通しが示されたことが、市場の波乱要因となりました。その後も、当局関係者が利上げ時期のさらなる前倒しの可能性を示唆したことを受けて市場は動揺したものの、FRB(連邦準備制度理事会)議長が早期利上げ観測をけん制すると、落ち着きを取り戻しました。

FOMCの内容に注目集まる
6月のFOMCを受け、市場ではテーパリング開始時期を見極めようとする動きが強まっています。FRB議長は足元で、「インフレは一時的であり、利上げの議論は時期尚早」とする一方、「秋以降に雇用が本格化する」との見解も示しています。そのため市場では、7月のFOMC会合での見解や、8月のジャクソンホール会議でのFRB関係者の発言が重要視されています。あわせて、金融政策の判断材料とされる雇用統計や物価動向などへの注目度も高まっており、内容次第では市場変動性が高まる可能性があります。

GDP水準にも期待
下旬には、米国とユーロ圏でそれぞれ、4-6月期GDP速報値の発表があり、米国では2桁成長が見込まれています。ユーロ圏でも、各種経済指標から力強い景気回復が見られ、ECB(欧州中央銀行)は6月に21年の域内総生産の成長率予想を引き上げています。GDPはコロナ前の水準に戻るとの見方もあり、今後も、これまで抑制されてきた個人消費の急回復が成長をけん引すると期待されています。

OPECプラス
また、OPEC(石油輸出国機構)加盟国とロシアなど非加盟産油国による閣僚級会合では、7月までの協調減産の縮小に続き、8月以降に増産姿勢を強めるとの見方が有力です。原油価格の上昇基調が続けば、インフレ懸念が高まる可能性もあることから、増産幅とその後の原油価格動向は材料視されそうです。

4-6月期決算発表が本格化
このほか、巨大IT企業に対するデジタル課税の行方や企業決算などが注目されます。主要企業の4-6月期決算発表は、米国で中旬以降、日本では下旬以降に本格化します。経済が正常化に向かう中、業績回復の拡がりが見込まれ、予想以上の回復が確認されるようであれば、FRBの動向に左右されやすい市場の安心材料になると期待されます。

【図表】7月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。