近年、米国と中国の間では、貿易やハイテク、人権問題などにおいて対立関係が鮮明となっています。両国対立の背景には、世界における主導権争いがあるとみられます。

目覚ましい成長を遂げる中国経済
中国の名目GDPは、2000年時点では約1.2兆米ドルと、世界最大の経済規模を誇る米国の12%弱にとどまっていました。しかし、2010年には世界第2位の経済大国に変貌し、2020年には米国の約70%もの規模となっています【グラフ左】。こうした目覚ましい成長を遂げる中国に対し、米国は危機感を強めているものと考えられます。

各国・地域の株価指数の相関係数
政治的な対立が深まる両国ですが、株式投資という観点で両国の関係をみると、意外な側面があることがわかります。グラフ右は、主要国・地域の代表的な株価指数について、過去20年間の相関係数を算出したものです。なお、相関係数とは、2つの資産間での値動きの連動性を示す指標であり、分散投資を行なう際、有効な組み合わせの分析などに活用されています。「-1から1」の間の値をとり、1に近いほど正の相関性が強く(同方向に動く傾向が強い)、-1に近いほど逆相関(逆方向に動く傾向が強い)、0に近いほど相関性がない(無関係の値動きの傾向)とみなされます。

先進国株式との相関性が低い、中国株式
日本や米国、欧州などの先進国・地域の株価指数の相関係数をみると、概ね0.6~0.8前後の高い値となっており、先進国株式の値動きには高い相関性があることがわかります。一方、中国と先進国の株価指数の相関係数は、概ね0.3前後と相対的に低い値となっており、中国株式は米国などの株式との相関性が低いことがわかります。このことから、資産運用において米国や日本の株式を中心に運用している場合、相関性が低い中国株式を併せ持つことによって、ポートフォリオの分散効果を高めることが期待されます。

政治や外交面などで対立関係を深める米国と中国ですが、資産運用における株式投資という観点からは、相対的に高い分散効果が見込まれる相性の良い組み合わせです。また、世界経済の成長を捉えるという点でも、世界的に見て高い経済成長が見込まれている中国の株式への投資は重要であることなどから、分散投資の一環として、中国株式をポートフォリオへ組み入れることを検討してみてはいかがでしょうか?

【図表】[左図]主要国の名目GDP規模の推移、[右図]主要国・地域の主な株価指数の相関係数
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。