7月の世界の株式市場は、中旬にかけて、新型コロナウイルス変異株の感染拡大に伴なう、景気回復の鈍化懸念などを背景に、大きく下落する場面が見られました。また、下旬には、中国当局によるテクノロジー企業などに対する規制強化の動きへの懸念が、中国国内のみならず、拡がりをみせた局面もありました。しかし、米国企業による良好な決算が相次いだことなどから、先進国を中心に株価は概ね上昇傾向となり、欧米の主要株価指数が最高値を更新しました。
FRBのテーパリングを巡る姿勢に注目
市場では、引き続き米FRB(連邦準備制度理事会)による国債などの資産買い入れの縮小、いわゆるテーパリングの開始時期が注目されており、26日から開催されるジャクソンホール会議で何らかの方針が示唆されるとの見方が強まっています。一方、FRB議長が、テーパリング開始の条件とする「雇用最大化と物価安定の目標に向けて著しい進展」を満たすには時間を要するとの認識を示していることや、米国内でも変異株の感染拡大による経済の不確実性が高まっていることを受けて、更なる経済動向の見極めが必要として、方針が示されるのはまだ先になるとの見方もあります。
豪中央銀行はテーパリング見直しの可能性
3日に行なわれるオーストラリアの金融政策決定会合では、7月に決定した、テーパリングの開始時期を9月から延期する可能性が出てきています。これは足元で、変異株の感染が同国で拡大し、一部地域で都市封鎖が実施されるなど、景気の先行き不透明感が拡がっていることが背景と考えられます。市場では、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が一時的に国債購入量を増加させるとの見方も浮上しています。同中央銀行の動きは、先進国で議論が始まりつつある金融政策の正常化に向けた動きを捉えていくうえでも、市場の注目を集めると考えられます。
回復が見込まれる日本経済
16日には、日本の4-6月期GDPの速報値が発表される予定です。民間エコノミストによる予想(ESPフォーキャスト調査(7月調査))では、前期比年率0.19%と2四半期ぶりのプラス成長が見込まれています。また、7-9月期は同4.90%と、日本経済の更なる回復が予想されています。同調査では、今後景気回復を抑える可能性があるリスクとして新型ウイルスの感染状況が挙げられています。足元、日本は欧米などと比較してワクチン接種率が低く、新規感染者数は増加傾向となっていることから、更なる景気回復に向けて、接種ペースの加速などを通じた、感染拡大の抑制が期待されます。

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