日本で57年ぶりに開催された東京五輪。開会式では会場上空に1,824台のドローンがエンブレムや地球儀を描くなど、今大会はあらゆる場面でロボティクスの技術が使われています。
迫力ある映像を演出
今大会は、5G(第5世代移動通信システム)やAI(人工知能)、センサーなどの活用で競技の詳細な経過が把握できるようになり、テレビやWEBを通じて、新たな視聴体験が提供されています。
たとえば、カメラで撮影した映像とAIを組み合わせた技術でアスリートの動きを3Dで可視化し、瞬時の動きや距離などを臨場感をもって視聴者に届けられたことです。競泳では画像追跡カメラの映像から、陸上競技ではゼッケンに装着された小型のモーションセンサータグと受信機の交信データから、それぞれスピードを計測し、画面に表示されました。他競技でも、会場全体に設置されたカメラの映像や3次元位置情報を使った立体映像データを基に、360度リプレイや静止画像などが放映されました。
このほか、AIなどによる体操採点支援システムの導入や、得点経過や記録を中心にロボット字幕・合成音声で伝えるロボット実況が導入されるなど、随所にロボティクスの技術が採り入れられました。
スポーツ関連の動画配信サービスなどでも、これら技術が活用されており、健康志向の高まりで需要が増えたウェアラブル端末なども含むスポーツテック関連市場は、拡大が見込まれています(図1)。
大会運営をサポート
今大会では、「史上最もイノベーティブで世界にポジティブな改革をもたらす大会」を目指し、「東京2020ロボットプロジェクト」の下で、さまざまなロボットが大会運営をサポートしています。
たとえば、海外選手団の玄関口となる空港では、荷物の運搬をアシストスーツがサポートし、無人で巡回する警備ロボットや自動清掃する清掃ロボット、パーソナルモビリティ、マスク型翻訳ロボットなどが導入されました。
選手村では、大会マスコットのロボットが選手や関係者を歓迎し、自動運転バスが選手たちの移動をサポートしています。競技会場では、競技で使用した用具などを回収・運搬するロボットなどが活躍しています(表1)。
今回、コロナ禍により、多くの会場が無観客という異例の大会となりましたが、ロボットが大会をサポートし、肉眼では見ることのできない世界が迫力ある映像として世界に同時配信されたことは、ロボティクスの技術の有用性を証明したといえます。
今後、これらロボティクスの技術が日常のあらゆる場面に応用され、企業や生活者の利便性・快適性向上を後押しすることが期待されます。
![【図表】[左図]図1:日本のスポーツテック関連市場、[右図]表1:大会をサポートする主なロボット](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-1729.jpg)
- 野村総合研究所 NRIメディアフォーラム「ITナビゲーター2021年版」
https://www.nri.com/jp/knowledge/report/lst/2020/cc/mediaforum/forum301の資料をもとに日興アセットマネジメントが作成 - 上記は推定・予測であり、将来を約束するものではありません。
- https://olympics.com/tokyo-2020/ja/などの情報をもとに日興アセットマネジメントが作成
- 上記は一部であり、すべてではありません。