9月3日の昼に報じられた、菅総理大臣の自民党総裁選挙への出馬見送りを受け、次期総裁とその後の衆議院総選挙を巡る選挙戦が一気に動き始めました。

新政権が打ち出すと見込まれる、コロナ対策やコロナ後を見据えた大型の経済対策などへの期待が高まり、政局や政策といったマクロ環境の変化に敏感とされる海外投資家の資金が流れ込み、このところ伸び悩んでいた株価は9月3日の午後以降、急上昇しました。続く週明けの6日も株価の上昇は止まらず、東証第一部の売買代金は3兆円を上回る活況を呈しました。

■変化を好む株式市場
株価は将来の企業価値を見込んで形成されやすいことから、株式市場では変化が好まれる傾向にあり、この数日間は日本(経済)の変化に対する期待の高まりを反映した株価推移になったものとみられます。

こうした政変を伴なう大きな変化は、2012年12月の政権交代から翌年春の日銀の大規模緩和につながる、いわゆる「アベノミクス」の初期にも見られ、この間の日本株式は2000年以降で類を見ない上昇を遂げました。

売買代金の推移(グラフ下部分)を見ると、アベノミクスの時期に日本株式の売買代金は急増しており、多くの資金が流れ込んだことがうかがえます。その後、アベノミクスの効果が薄らぐ中で、2018年を境に減少傾向となり、株価もさえない展開となりました。

一方で、米国のNASDAQ総合指数の売買代金は2017年以降増加傾向となり、コロナ・ショック後にさらに増えています。これは、同指数に多く含まれるハイテク銘柄への選好が高まる中で、コロナ禍でのDX(デジタル・トランスフォーメーション)の急激な進展などにより関連企業の業績期待が高まり、NASDAQ市場に多くの資金が流れ込んだことなどが原因とみられます。

■株価を決定する要因の一つが変化への期待
株価を決定する要因はいくつもありますが、企業業績というファンダメンタルズ要因に、変化への期待という市場の熱気(例:売買高)が加わった場合、大きな株価上昇につながるケースが過去に幾度かありました。

足元、日本企業の業績は回復傾向を見せており、今回の日本の政変が日本経済の変化につながるのか、世界中の投資家が注目しています。

【図表】日米の主要株価指数・売買代金の推移
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。