近年、力強い上昇で注目されるNASDAQ100指数は、世界最大の新興企業向け株式市場、ナスダックに上場する企業のうち、金融業を除く時価総額上位100社の株式で構成されています。同指数には、今後の社会を一変させ得る技術分野のトッププレイヤーが揃っており、構成銘柄の多くはコロナショック以降、飛躍的な株価の上昇を見せました。今年2月中旬以降は、米長期金利の上昇や金融緩和の縮小懸念などからハイテク株が売られ、経済活動の再開が追い風となる景気敏感株が選好されたことで同指数は上値の重い展開となりました。しかし、5月中旬以降は上昇基調を取り戻し、9月に入っても最高値を更新しています。

こうした好調の背景には、米長期金利が落ち着きを取り戻したことが挙げられます。一般に、金利上昇局面では、高PER(株価収益率)のハイテク株は売られる傾向があります。米長期金利は年初来、ワクチン接種の進展や追加経済対策による景気回復期待、インフレ率の上昇などを受けて大きく上昇しました。しかし4月以降は、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長らが早期利上げに慎重な姿勢を示したことや、新型コロナウイルス変異株の感染拡大で景気回復の鈍化が懸念されたことなどから低下傾向となりました。そうした中、ハイテク株の高PERに対する警戒感が薄れたほか、景気循環に左右されやすい景気敏感株などに比べて業績が安定している点などが好感され、再びハイテク株に資金が流入しました。

加えて、2021年4-6月期の好調な企業業績もハイテク株を後押ししました。代表的なハイテク企業は相次いで市場予想を上回る売上高や営業利益を計上し、堅調な業績を示しています。これに対し、変異株の感染拡大による先行き不透明感や半導体不足などにより、7月以降の業績を不安視する声もあります。しかし、同指数の予想EPS(1株当たり利益)は一般的な米株価指数に比べ、足元で上振れが顕著となっていることから、ハイテク企業の中長期での高成長が見込まれる状況に変化はないと考えられます。

今後、ワクチン接種率の向上や成長戦略などによって米国の景気回復が順調に進めば、利上げが改めて意識され、米長期金利が再び上昇することも考えられます。その場合、ハイテク株が一時的に利益確定売りなどに押される可能性もありますが、景気回復はハイテク企業にとってもプラスとなることから、株式市場で業績相場の様相が強まるに連れ、中長期の利益成長性で勝るとみられるNASDAQ100指数が優位に立つと期待されます。

【図表】[左図]NASDAQ100指数の構成上位銘柄、[右図上]主な米国株価指数の推移、[右図下]主な米国株価指数の予想EPSの推移
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