日本の不動産投資信託(J-REIT)の取引は、2001年9月10日に開始され、先日20年を迎えました。取引開始当初の上場銘柄は2銘柄、合計時価総額は約2,400億円と小さい市場でしたが、現在では上場銘柄は62銘柄、合計時価総額は17兆円を超える大きな市場となっています。
取引開始当初:2001年9月末時点、現在:2021年8月末時点
これまでの20年を振り返ると、取引開始翌日の米国同時多発テロ、サブプライム・ローン問題(2007年)、リーマン・ショック(2008年)、コロナ・ショック(2020年)など多くの難局がありましたが、日銀のJ-REIT購入(2013年から)などの後押しもあり、近年は相対的に堅調な推移となっています。
東証REIT指数の算出開始日以降のパフォーマンスは114%(2003年3月末~2021年8月末)、支払われた分配金を加味した再投資ベースでは375%(4.75倍)となり、相対的に高い分配利回りがもたらす効果がうかがえます。
■株式とは異なる保有の現状
投資部門別でJ-REITの保有状況(左円グラフ)をみると、約55%が金融機関による保有となっており、幾分時点は異なり*ますが、約29%である株式に比べ高くなっています。これは、投資信託の保有割合がJ-REITでは約34%であるのに対し、株式は約9%となっていることなどが大きな要因と言えます。
なお、投資信託には日銀により購入されたJ-REIT(約6,500億円、同時期の時価総額の約4%、2021年2月20日時点)が含まれています。
J-REIT:2021年2月時点、株式:2021年3月時点
■世界株式指数に採用され始めたJ-REIT
一部では、この日銀の保有残高が将来の売却時に市場の需給悪化要因となると懸念されていますが、世界株式の運用ベンチマークに多く採用されているMSCIやFTSEの世界株式指数に、一部のJ-REITが採用され始めており、この先も海外からの投資資金の流入が期待できる状況となっています。
また、取引開始当初はオフィスビルが中心であったJ-REITは、商業施設や物流施設、住宅などへ保有不動産を多様化させており、この先も安定した市場拡大が続くと期待されます。
![【図表】[左図]投資部門別保有状況、[右図]J-REIT市場の推移(価格、銘柄数、時価総額)](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-1749.jpg)
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