9月の金融市場では、月初に米主要株価指数が最高値を更新したものの、変異株の感染拡大に伴なう景気回復の鈍化懸念や、米国のテーパリング(量的緩和の縮小)に対する警戒感などから株式市場は軟調に推移しました。一方、日本では菅首相の自民党総裁選への不出馬を受けて次期政権への政策期待が高まり、日経平均株価が31年ぶりの高値を付ける大幅な上昇となりました。その後、下旬にかけては、中国の大手不動産開発会社を巡る懸念に加え、FOMC(米連邦公開市場委員会)の内容やインフレ懸念を受けて米長期金利が上昇したことなどから、世界の株式市場は上値の重い展開となりました。
米国の金融政策や政治動向に注目
10月は引き続き、米国の金融政策動向が注目されます。9月下旬に開催されたFOMCでは、次回11月の会合でテーパリングの開始を決定する可能性が示唆されたほか、利上げ開始時期の見通しが2023年から2022年に前倒しされました。そうした中、テーパリングの開始時期やペースを巡り、雇用統計やCPIなどの経済指標や9月のFOMC議事録などへの関心が高まっています。
政治面では、連邦政府の債務上限問題が注視されます。10月中旬にも政府資金が枯渇し、デフォルトに陥るリスクがある中、バイデン政権が導入をめざす経済政策を巡り、野党・共和党が与党・民主党と対立していることが障害となっています。共和党からの合意が得られない場合、民主党は3.5兆米ドル規模の財政調整法案に債務上限対応を組み込み、単独での可決をめざす可能性がありますが、同法案には党内でも規模の圧縮を求める声もあり、調整の難航が予想されます。
政権交代と日本経済の回復期待
日本では、4日に臨時国会が召集され、岸田氏が新首相に選出されます。その後の衆議院の解散は10月中旬、衆院選の投開票は11月になると見込まれていますが、政策や政権安定化などへの期待から、総選挙前後は株価が上昇しやすいとの経験則(アノマリー)が意識される可能性があります。また、全国の緊急事態宣言・重点措置の9月末での解除に加え、ワクチンの2回以上の接種率が6割に迫っていることから、経済の本格的な回復に向けた期待も高まっています。
企業の7-9月期決算発表が本格化
米国では10月中旬以降、日本では下旬以降に、企業の7-9月期決算発表が本格化します。景気回復を背景に、各国で堅調な決算発表が期待される中、特に日本企業は業績の上方修正や株主還元の発表が増えると予想されています。一方で、サプライチェーンの問題が続いていることなどから、企業側が示す今後の見通しなどへの注目がいつも以上に高まっています。

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