コロナ禍を機に社会全体のデジタル化が加速したのは、これを支える半導体が技術革新で高性能化、多機能化したことが一因と考えられます。
半導体は多種多様
半導体とは、電気を通す“導体”とほとんど通さない“絶縁体”との、中間の性質を持つシリコンなどの物質を指し、この物質を用いたIC(集積回路)などの部品も慣用的に「半導体」と呼ばれています。半導体は、光を発するLED、情報をデータ変換するセンサーや記憶するメモリなど、多岐にわたります。
半導体の中でも、“コンピュータの頭脳”といわれるのがCPU(中央演算処理装置)です。CPUには、処理に必要な計算をする「コア」と呼ばれる回路が組み込まれています。普段私たちが利用するコンピュータには、一般的に高性能の「コア」を4~6個組み込んだCPUが搭載され、マウスやキーボード、記憶装置などからの情報を制御しながら、連続的に処理しています。
そして、近年需要が高まっているのが、数千個の「コア」を組み込んだGPU(画像処理半導体)です。GPUは、定型化された情報を並列的に処理することに長けているため、大量のデータ処理に適しており、データサイエンス分野などで活用が増えています。
CPUとGPUの役割を製造現場に例えると、複雑な作業はともかく、単純な作業は1人の優秀な“CPU”に任せるよりも、大勢の“単純作業が得意なGPU”に任せる方が効率的、というイメージです。
用途が拡大、需要が高まるGPU
ここからは、GPUで高いシェアを誇る米NVIDIAの事例から、GPUの魅力をお伝えします。
同社は、1999年に2Dグラフィックを3Dグラフィックに変換する半導体であるGPUの販売を開始し、ゲーム業界の発展を加速させました。
近年、GPUは、大量のデータ処理に適しているという特性から、ゲーム以外にも、AI(人工知能)や自動運転、ロボット、AR・VR(拡張現実・仮想現実)などの幅広い分野で利活用されています。
また、最近のデータセンターでは、データ処理の時間短縮を図るため、CPUにGPUを組み合わせたサーバー利用が増加傾向にあります。
そこに着目したNVIDIAは、今年4月、データセンター向け自社CPUを2023年に投入すると発表しました。同社によれば、半導体設計大手の英Armが開発する「コア」を搭載した自社のCPUとGPUを組み合わせることで、複雑なAIモデルの処理時間が約1ヵ月から3日間に短縮できるとしており、今後、処理スピードの飛躍的な向上が期待されています。
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半導体の技術革新は、大量のデータを用いたシミュレーションや分析を容易にしたほか、デジタル化の推進に大きく貢献しただけでなく、自動運転などのロボティクスを加速させると期待されます。
![【図表】[左図]半導体の用途別割合(2020年)、[右図]世界のGPU市場の規模](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-1757.jpg)
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