10月の金融市場では、中国の不動産開発大手の債務問題や、米国のインフレ加速および早期利上げ懸念の高まりなどが、投資家心理を圧迫する要因となりましたが、米国の良好な経済指標や主要企業の決算発表などを材料に、世界の株式市場は概ね堅調に推移しました。また、ECB(欧州中央銀行)が、コロナ禍対応の資産購入策について、来年3月の終了時に新たな策の導入を検討していると報じられたことや、米連邦債務上限の12月までの暫定延長が議会で合意されたことなども、市場の安心感につながりました。

米国の金融政策は転換期を迎える可能性
市場では、引き続きFRB(米連邦準備制度理事会)による金融政策の動向が注目されています。9月のFOMC(連邦公開市場委員会)議事の要旨では、11月の会合でテーパリング(量的緩和による資産購入額の縮小)を決める場合、同月中旬または12月中旬から縮小を開始し、2022年半ば頃に終える道筋が示されました。市場では、11月の会合でテーパリング開始を決定するとの見方が大勢で、市場の関心はテーパリングから利上げの時期に移りつつあります。世界最大の経済規模を誇る米国の金融政策は、世界の金融市場に大きな影響を及ぼすことから、FOMCの動向に大きな注目が集まっています。

日本では総選挙後の政治運営に注目
日本では、10月末の衆議院選挙での結果を受け、11月から新たな体制による政治運営が開始されます。岸田政権発足から日を置かず選挙となったこともあり、新政権による具体的な取り組みは停滞していましたが、今後は、新型コロナウイルスの感染拡大抑制と経済活動の両立など、様々な取り組みを実行していくとみられます。11月上旬には、岸田首相が掲げる「成長と分配の好循環」の実現に向けて設置された「新しい資本主義実現会議」が、経済対策など最優先で取り組む課題を緊急提言案として取りまとめる予定です。新政権がどのような舵取りをするか、今後の動向が注目されます。

中国では重要方針を定める6中全会が開催予定
中国では8日から、重要政策や人事を定める、党中央委員会第6回全体会議(6中全会)が開催されます。内容は政治面が中心とみられますが、経済面でも党のビジョンが入り、政策が及ぼす経済への影響が大きくなっている同国の動向を推し量るための手掛かりを得られる可能性があります。なお、同会議では、約40年振りに「歴史決議」が採択される見通しです。歴史決議を採択するのは、毛沢東氏、鄧小平氏に続いて習近平国家主席が3人目となることから、党トップの続投に向けて、同氏の権威をさらに高める狙いがあるとみられています。

【図表】11月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。