米CPIは、約31年ぶりの高水準に
11月10日に発表された10月の米国の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、前年同月比で+6.2%と1990年11月以来の6%台に達し、大幅な伸びとなりました。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIの上昇率についても、同+4.6%と1991年8月以来の高水準となりました。
10月のCPIでは、上昇すると下がりにくいとされる家賃などの住居費は前月比0.5%上昇し、9月の同0.4%から加速しました。また、中古車価格が上振れるなど新車の供給制約の影響もみられます。
CPIは、消費者が購入するモノやサービスなどの価格動向を捉えた統計です。なかでも、インフレ判断の重要統計であるコアCPIは、供給制約の深刻化やエネルギー価格上昇もあり、インフレの長期化懸念が強まっていたことから、発表前から注目が高まっていました。今回の発表後、米10年国債利回りは上昇(債券価格は下落)、米国株式は調整、市場の不安を示すVIX指数も一時大きく上昇するなど、インフレに対する警戒感はさらに強まる状況となりました。
物価上昇局面において、REITは概ね堅調
物価動向と合わせて注目されているのが、REIT価格の動向です。2021年春頃から、米国のCPIの伸びは加速する状況となりましたが、それに追随するかのようにREIT指数は上昇基調となりました。
過去に遡ってみても、2007年の米国のサブプライム・ローン問題に端を発し、その後2008年のリーマン・ショックにつながる世界的な金融市場の混乱時には、REITも値下がりを余儀なくされましたが、2009年春以降、物価が上昇するなかで、概ね堅調な推移がみられました。(下記グラフ参照)
REITのインフレ耐性
一般的に、物価上昇局面においては、REITの裏付け資産である不動産価格や賃料などが上昇しやすくなることから、REITの収益拡大が期待されます。また賃料上昇は、不動産価値を高めることにもつながります。
こうしたことから、REITはインフレ耐性が高い資産と言われ、インフレ懸念が高まる局面においても価格上昇が期待されます。
分散投資の重要性
今回のCPIの発表を受けて、市場では、インフレに対処する金融政策の見通しが、以前より難しくなったとみる向きがあります。そして、こうした不透明な投資環境においては、分散投資の重要性が増すとみられ、REITなどインフレ耐性が高い資産を債券や株式などの伝統的な資産と組み合わせることは、資産運用の安定性に一定の効果を発揮するものと考えられます。

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- 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。