世界中で脱炭素社会への転換が進む中、日本は、2050年までに脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。今回は、CO2排出量の約半分(日米における)を占めている産業・運輸部門の削減に関わるロボティクスの技術を紹介します。

省エネ・省電力化に貢献するロボティクス
近年、製造現場に欠かせない産業用ロボットは、軽量化や動作プログラムの最適化などにより省エネルギー化が進んでいます。例えば、日本のファナックの協働ロボットは、10㎏のモノを運ぶためのロボット重量を、150㎏から40㎏に軽量化させ、消費電力を低減しました。また、モーター減速時のエネルギーを電源に戻す方式を導入することで、その損失を95年比で約40%低減させています。

スイスのABBは、エネルギーや資源を効率的に利用するために、例えば、モーターのスピードやトルクを適切に調節する可変速ドライブを利用して消費電力を約25%削減したほか、高度なエネルギー監視システムの活用で、ホテルのエネルギー消費を約40%節約しました。また、仏のシュナイダー・エレクトリックは、IoT(モノのインターネット)技術を通じて得たデータを分析して、省エネルギーと再生可能エネルギーの導入を促すマイクログリッドに関するソリューションの提供を展開しています。

ロボティクスの技術を結集した電気自動車
脱炭素社会の実現に向け、主要国・地域は2030年代にガソリン車の新規販売禁止の目標を掲げており、とりわけ欧州では、ハイブリッド車も実質販売禁止する方針を打ち出しています。日本では、2030年半ばに新車の100%を電気自動車(以下、EV)にするよう、検討が始められました。

今後主流となるEVでは、多くのロボティクスの技術が使われています。例えば、動力源となるモーターの出力を調節するインバーターは、ロボティクスにおいて必要な部品である半導体で構成されており、EV向けには、高い電圧や大きな電流に対しても壊れず、電流導通時のエネルギー損失の低減や効率の良い放熱、といった特殊なパワー半導体が使われています。このパワー半導体の分野では、独のインフォニオン・テクノロジーズや日本の三菱電機などが高いシェアを占めています。

このほか、最近注目されているのが、モーターとインバーター、減速機(ギア)を一体化することで個別のチューニングを不要とした駆動ユニット「eAxle(イーアクスル)」です。EVの心臓部ともいわれ、小型化を進めることで広い車内空間を確保できるといったメリットがあります。すでに、トヨタ自動車の燃料電池車などにはアイシン精機、中国の電気自動車には日本電産のeAxleが採用されており、今後、EV普及で一段と需要が高まるとみられます。

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このように、省エネルギー化やCO2排出量削減に取り組み、脱炭素社会への転換を進める際には、多くのロボティクスの技術が使われているのです。

【図表】[左図]日本:製造業のエネルギー消費と経済活動、[右図]世界:EV関連市場の規模
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