10月21日、世界最大級のブランディング企業「インターブランド」は、ブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2021」を発表しました。同ランキングは、グローバルに展開するブランドを対象に、ブランド価値を金額に換算してランキング化するもので、2000年の開始以降、今回で22回目の発表となります。同ランキングでは100位までの順位が発表されており、2021年の1位は世界中でiPhoneなどを展開するApple、2位にはインターネット通販大手のAmazon、3位にはMicrosoftが続いており、世界を代表するブランドが名を連ねています。
電気自動車(EV)大手のTeslaが大きく躍進
今年のランキングでは、上位10位までの顔触れ(下の左表)は昨年とまったく変わりませんでした。しかし、コロナ禍で進んだデジタル化のニーズ拡大などを追い風に、今年も昨年と同様、ハイテク・デジタル関連ブランドが大きく価値を向上させる傾向がみられました。ブランド価値増加率のランキング(下の右表)をみると、1位:Tesla(ブランド価値の前年比:+184%)、2位:Salesforce.com(同:37%)、同率3位:AdobeおよびPayPal(同+36%)、5位:Microsoft(同+27%)と、ハイテク・デジタル関連のブランドが上位に並んでいます。特筆すべきは、Teslaの大幅な躍進です。前年比+184%という成長率は、ブランド価値評価ランキングの開始以来、最大の伸び率であり、ブランド価値のランキングでは、昨年の40位から14位へと大幅に順位を上げました。同社は、2020年通期のEV販売台数を前年比+36%と大幅に増加させるなど、ユーザーから高い支持を受けていることや、事業の一貫性・財務健全性の向上などを背景に、ブランド価値を向上させました。
時代を先読みし、素早く行動することが高評価に
インターブランドは、今年躍進したブランドの多くで「志向力(ブランドの目指す姿や実行までのビジョンが明確)・俊敏力(組織として、課題やビジネス機会に対して迅速に対応できる)・共創性(顧客やパートナーとの対話により、協働を促すことができる)」という3つの要素が強みとしてみられると分析しています。変化が激しい環境において、時代や顧客のニーズを先読みし、一歩先駆けて動き出したブランドが大きく成長したと考えられます。
ブランド価値の醸成や大幅な変化には、通常、時間を要します。コロナ禍による外出抑制など、社会情勢や消費者行動の変化によって企業・ブランドは大きな影響を受けたとみられます。しかし、短期的な売り上げ・利益だけでなく、ブランド価値という物差しで企業をみることも、投資を行なう際のヒントになるかもしれません。
![【図表】[左図]ブランド価値の上位10ブランド、[右図]世界:ブランド価値増加率の上位10ブランド](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-1769.jpg)
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