11月は、独DAXや仏CAC、欧州のストックス・ヨーロッパ600、さらに、米国のニューヨーク・ダウ工業株30種、S&P500、ナスダック総合といった株価指数が最高値を更新するなど、主要先進国・地域の株式は、中旬まで概ね堅調でした。しかし、その後は、欧州などでの新型コロナウイルスの感染再拡大や、米量的緩和の縮小ペースを上げ、より早くテーパリングを終了させることで、早期利上げに向けた環境を整えるべきとの動き、さらに、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が確認されたことなどから、株価は下落に転じました。

欧米主要株価指数が11月に最高値を更新した主な背景として、企業の好決算の発表が挙げられます。ただし、下のグラフのとおり、上昇傾向だった主要株価指数の予想EPS(1株当たり利益)に足元で頭打ちの兆しが見られます。特にDAX指数の場合、欧州での感染再拡大の影響などから、既に下振れが起きています。米国については、利上げ前倒し観測に伴なう景気回復ペースの鈍化懸念などの影響が考えられますが、ナスダック総合指数の場合、一足早く横ばいになったように見えます。

今後、オミクロン株の感染が一段と拡がるなど、世界景気の回復期待が更に後退するような場合には、米長期金利の低下を想定できるものの、予想EPSの上昇は期待しづらいため、高PER(株価収益率)のナスダック総合指数などの場合、株価の上値が一層重くなることも考えられます。一方、予想PERの面で割安感がある日本株の場合には、株価の出遅れ感などが見直され、投資家の注目を集めることも想定されます。

【図表】[上図]主要株価指数の予想EPSと米金利の推移、[下図]主要株価指数と予想PERの推移
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。