政策金利は6会合連続で据え置き
米FRB(連邦準備制度理事会)は、4月30日~5月1日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、市場予想どおり、政策金利(FFレートの誘導目標)を6会合連続で5.25~5.50%に据え置きました。

今回、2%の物価目標の達成に向けたインフレ率の低下が進んでいないとの記述がFOMCの声明に加えられたほか、パウエルFRB議長も、物価目標の達成に向けた確信が得られるまで、従来の想定より時間がかかりそうだと述べました。ただし、年内にインフレ率は低下に転じるとして、次の動きが利上げとなる可能性は低いと指摘しました。

また、FRBは現在、コロナ禍対応で購入した国債やMBS(住宅ローン担保証券)の保有額を削減するQT(量的引き締め)を実施中ですが、国債について、従来、月最大600億米ドルとしてきた削減額を6月から250億米ドルに抑えると発表しました。

1日の米国市場では、利上げの可能性は低いとの議長発言や市場予想を上回るQT減速などから国債利回りが低下しました。株式市場では、主力株の一部が買われたものの、個別企業の決算や見通しの発表を受け、半導体関連銘柄が売られたため、主要3株価指数はまちまちとなりました。

インフレ率は鈍化も、サービス分野中心に高水準
米国のインフレ率は、モノの分野では大きく鈍化したものの、サービス分野での鈍化が緩慢なため、全体では依然、高い水準にあります。また、景気は底堅く、労働市場も、緩やかに軟化しているものの、堅調に推移しています。こうした中、金融市場では利下げ観測の後退が続き、足元では年内に1回程度との見方が優勢となっていたほか、今回のFOMCについて、利下げに否定的なタカ派寄りの内容になるのではと懸念する向きもありました。しかし、そうした懸念が杞憂に終わると、米金利先物市場では、12月に利下げが開始される確率が前日の40%弱から40%台後半に上がりました。

今後の判断はデータ次第
金融政策の行方を巡っては、今後も、サービス分野を中心としたインフレ率のほか、労働需給や賃金上昇率、長期金利の水準など、幅広いデータが注目されます。また、次回6月のFOMCで示される会合参加者の見通しにも要注目です。

【図表】[上図]年内のFOMC開催予定(下段:議事要旨の公表日)、[下図]24年3月のFOMC参加者の見通し(中央値)
【図表】[左図]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移、[右図]米労働市場の主要指標の推移
  • 米労働統計局、全米経済研究所(NBER)、FRBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。