2024年6月末時点の家計の金融資産は、日本で約2,212兆円、米国では約123.2兆米ドルと、日本では6四半期連続で過去最高を更新、米国でも2四半期連続で過去最高を更新しました。ただし、それぞれを2000年末の規模と比較(中央グラフ)すると、日本では約1.6倍なのに対し、米国では約3.6倍と、拡大ペースに大きな違いが見られます。
長期で見た場合に、米国の家計金融資産の伸びが相対的に高い主な理由として、多くの人が資産形成に積極的で、運用成果を享受していることが挙げられます。同国では、家計金融資産に占める株式・投資信託(投信)の構成比が5割を超えているほか、保険・年金においても、確定拠出年金制度を通じて投信が積極的に活用されています。
一方、日本の場合、家計の金融資産の半分以上を現金・預金が占め、株式・投信は19%強にすぎないため、運用の効果は限定的となりがちです。ただし、コロナ・ショック直後の2020年4-6月期以降、家計は17四半期(4年3ヵ月)連続で投信を買い越しており、その額は24.2兆円に及びます。また、資産所得倍増を掲げる政府の方針の下、今年1月に新NISA(少額投資非課税制度)が始まったこともあり、1-6月の投信への資金流入額(日銀の資金循環統計ベース)は6.57兆円と、2007年4-9月の7.14兆円以来の高水準となりました。
なお、投資にはもちろんリスクがつきもので、運用成果は市況などにより変動します。ただし、一般に、投資対象を分散することにより、リスクは低減し、さらに長期投資によって運用成果が安定化するとされています。また、国内資産に限らず、海外資産にも分散して投資をすれば、世界経済の成長の果実を得やすくなると考えられます。
このように、海外資産も活用し、リスクを抑えながら行なう長期投資の一例が、右下のグラフの赤い線です。この例では、2000年末に内外の主要6資産に等金額投資を行なった結果、足元の評価額は約4.6倍に膨らんでいます。こうしたシミュレーションや家計のリスク許容度を踏まえ、現金・預金を積み上げるのではなく、「おカネ」を投資に振り向け、働いてもらうことを検討してはいかがでしょうか。
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