米国の景気減速懸念が高まる中、日銀の追加利上げなどから急激に円高(対米ドル)が進行した2024年8月5日、日経平均株価は、史上最大となる4,000円超の下げ幅を記録しました。そして、その翌日の8月6日には3,000円以上の上昇となるなど、日本の株式市場は値動きが大きい展開を見せました。

価格変動が大きかっただけに、「継続保有ではなく、下がりそうになったら売って、大底で買い戻せれば大きな利益を獲得できたのでは?」という考えも出たかもしれません。勝算はさておき、株式投資において心得ておくべき点について考えてみます。

投資において避けられない価格変動
株式投資を行なう上では、投資対象の選別の他にも、長期投資か短期投資かという、投資期間に関する選択肢が存在します。これが正解という手法はなく、投資家のリスク許容度などに応じて適切に選択することが重要となります。

一般に、基本とされる長期投資を考える上で重要となるのは、投資期間に起きる可能性のある下落に、どう立ち向かうかということです。株価が高値を付けた直後の1990年初からのTOPIX(東証株価指数)の値動きを週次で見た場合(下グラフ)、足元では高値を更新していますが、この期間、常に上下に振れていたことが分かります。

もしタイミングをうまく見計らうことができて、「大きく下落した5週の保有を回避(保有しない)」に成功した場合、下のグラフの「良好」にあるように、継続保有した場合に比べて2倍程度の投資成果を上げていたことになります。

このような市場のタイミングを見計らう投資手法は、ヘッジファンドなどによって実際に行なわれています。ただし、継続的に成果を上げることはプロでも極めて難しいとされています。

市場に居続けることの重要性
市場のタイミングを見計らう投資も投資手法の一つであり、否定するものではありませんが、市場が上昇するタイミングを取り逃がす恐れもあります。

下グラフに掲載した、「大きく上昇した5週だけ保有を見送る(保有しなかった)」場合の投資結果が、継続保有した場合の半分程度の成果にとどまるという事からも、タイミングを外すとリターンが大きく低下することが分かります。

このようなことから、長期投資(継続保有)を行なう場合に大切なことが見えてきます。それは、保有期間中に株価の大きな下落が起きた際に、逃げ出すのではなく、冷静に向き合い、市場に居続けることが大切であり、その結果が投資成果に結びつくと考えられます。

【図表】TOPIX(東証株価指数)の推移
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよびシミュレーションであり、将来を約束するものではありません。