市場予想通り、0.25ポイントの利上げを決定
日本銀行(日銀)は1月23~24日に開催した金融政策決定会合で、市場予想通り、政策金利(無担保コール翌日物金利の誘導目標)を0.25ポイント引き上げ、0.5%程度としました。利上げは半年ぶり、政策金利が0.5%となるのは07年2月~08年10月以来、約17年ぶりです。

日銀は、景気の現状について、一部に弱めの動きも見られるが、緩やかに回復しているとの判断を維持したほか、経済・物価の先行きについては、見通しが実現していく確度が高まってきているとしました。また、見通し(図1参照)では、2025年度を中心に物価上昇率を上方修正しました。

24日の市場では、日銀の声明や見通しなどを受け、利上げの継続が見込まれるとして、中期債を中心に国債利回りが上昇したほか、円相場は1米ドル=155円台に上昇しました。株式相場は5営業日ぶりに反落したものの、下げ幅は限定的でした。

賃上げは続くと判断、米政権の政策は不確実
日銀の植田総裁は、賃上げが続く見通しが強まったことを利上げの理由の1つとして挙げました。大手企業については、今年も賃上げを継続するとの発言が経営者から相次いでいます。また、1月上旬の日銀支店長会議では、継続的な賃上げが必要との認識が幅広い業種・規模の企業に浸透してきていると報告されました。

トランプ米大統領の就任以降、金融市場が全体としては落ち着いていることも、利上げの判断を後押ししました。ただし、先行きの不確実性が高く、関税政策の規模・拡がりがある程度固まった後に経済・物価見通しなどに反映し、政策運営に活かすとの考えが示されました。

加えて、円安・米ドル高で輸入品の価格上昇の流れが強まっていることなど、物価の上振れリスクも判断材料とされました。

金融市場では、夏頃の追加利上げを有力視
同総裁は、今回の利上げ後も実質金利は極めて低いとして、経済・物価が見通しに沿って推移すれば、政策金利を引き上げていくとの方針を再確認しました。ただし、そのペースや時期は経済・金融情勢次第で予断は持っていないと述べました。なお、次の利上げの金融市場での織り込み具合は、6月会合まででは40%弱ながら、7月会合までで約60%、9月会合まででは約90%となっています。

【図1】[上図]年内の金融政策決定会合の予定、[下図]25年1月の展望レポートの見通し(中央値)
【図2】[左図]金利と円相場の推移(2019年1月4日~2025年1月24日)、[中央図]物価上昇率(前年比)の推移(2019年1月~2024年12月)、[右図]賃金(前年比)と消費の推移(2019年1月~2024年11月)
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。