4会合ぶりに政策金利を据え置き
米FRB(連邦準備制度理事会)は、1月28・29日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、市場予想通り、政策金利(FFレートの誘導目標)を4.25~4.50%で据え置くことを決定しました。

FRBの声明文では、労働市場の評価が昨年12月会合での「概して緩和」から「堅調」に修正されたほか、インフレ率の鈍化については、「2%の物価目標に向けて進展した」との文言が削除されました。これらを受け、今回の会合の内容は、市場の想定より金融緩和に消極的なタカ派寄りと受け止められ、29日の米国市場では、国債や株式が売られました。ただし、パウエルFRB議長が会見で、インフレ率に関する文言の修正は文章を短くしただけで、警告の意図はないと説明したことなどを受け、国債や株式の下落幅は縮小しました。なお、円相場は概ね1米ドル=155円台前半で推移しましたが、30日の東京市場では154円台に上昇しました。

失業率は低位、インフレ改善
労働市場については昨年、概ね緩和しました。特に、2023年春に3.4%で底をつけた失業率は、昨夏後半は4%強で推移しましたが、低水準で安定しているとして、FRBは労働市場が堅調を維持していると評価しています。なお、パウエル議長は同市場について、インフレ圧力の源ではなく、物価目標達成のために一段と緩和する必要はないとの見解を示しました。

また、インフレ率は、モノの分野では沈静化し、サービス分野でも鈍化傾向となっており、同議長は一段の改善を予想していると述べています。

パウエル議長、「利下げを急がない」
金融政策の行方を巡っては、今後も、サービス分野を中心としたインフレ率のほか、労働市場の状況、長期金利の水準など、幅広いデータが注目されます。加えて、トランプ政権が掲げる、関税引き上げや減税、不法移民の大規模強制送還などの諸政策の行方やその影響度合いも注視する必要があります。

なお、パウエル議長は会見で、利下げを急がないとの見解を示しました。金融市場では、次の利下げは6月、それを含め、年末までに0.25ポイントの利下げが2回というのが有力視されています。

【図表】[上図]年内のFOMC開催予定、[下図]24年12月のFOMC参加者の見通し(中央値)
【図表】[左図]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移、[右図]米労働市場の主要指標の推移
  • 米労働統計局、全米経済研究所(NBER)、FRBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。