9月、10月、12月に続く、4会合連続の利下げ
ECB(欧州中央銀行)は1月30日の政策理事会で、市場予想通り、4会合連続となる0.25ポイントの利下げを決定し、主要政策金利のうち、市場金利の下限となる「中銀預金金利」を2.75%としました。また、会合後の声明やラガルド総裁の会見では、更なる利下げを示唆しました。

30日のユーロ圏市場では、追加利下げ観測が強まり、国債利回りが低下しました。株式市場では、ECBの決定や利下げ観測の強まりなどを受け、不動産株を中心に相場が上昇し、ストックス・ヨーロッパ600、独DAXの両指数が最高値を更新しました。また、ユーロは、同日に発表された米国の昨年10-12月期のGDPが予想を下回ったことをきっかけに、売り持ち高を解消する動きが出たことなどから、対米ドルで上昇したものの、その後、トランプ米大統領がカナダやメキシコに対する関税措置の導入を改めて表明すると売りが強まり、上昇をほぼ帳消しとしました。

インフレは予想通り改善、脆弱な景気をより重視
ECBは、インフレ率について、順調に改善しているとしたほか、2%の物価目標の達成に自信を示しました。なお、サービス分野での物価上昇率については、賃上げの動きなどを反映して4%前後で高止まりしているものの、企業が労働コストの高まりを収益で吸収しており、価格転嫁を通じたインフレ圧力は次第に弱まるとしています。

景気については、1月30日に発表されたユーロ圏の昨年10-12月期のGDP成長率が、独・仏両国でのマイナス成長の影響などもあり、前期比横ばいと、予想を下回りました。また、ユーロ圏のPMI(購買担当者指数)の悪化にはひとまず歯止めがかかった模様ながら、改善は限定的です。しかも、トランプ米政権の関税政策によって、今後、貿易に悪影響が及ぶリスクがあります。こうした中、ECBは、金融政策が依然として景気抑制的だとして、利下げの継続を示唆しました。

金融市場では、年内、更に3回の利下げを想定
ECBは、今後の利下げはデータ次第だとして、会合ごとに判断していく意向を示しているものの、金融市場では、年内に0.25ポイント幅で更に3回の利下げが有力視されています。なお、一部報道では、次回3月会合での利下げについて、当局者の間に異論はないとされています。

【図表】[左図]金利・為替の推移、[中央図]物価・賃金(前年比)の推移、[右図]PMIの推移
【図表】[上図]年内の政策理事会の予定、[下図]ECBスタッフの経済見通し
  • ECBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。