1月の株式市場では、上旬は、20日に発足する米トランプ政権の政策の不確実性や、米欧で利下げペースが鈍化するとの懸念を背景に長期金利が上昇したことが相場の重荷となりました。しかし、その後発表された米物価指標が総じて市場予想を下回ったことなどから、米欧の利下げペース鈍化懸念が後退しました。また、トランプ米大統領の就任当初に関税措置の導入が見送られたことや、AIインフラへの巨額の投資計画が発表されたことなどが好感され、株価が上昇しました。月末には、中国企業が低コストで開発したとするAIの台頭によって米ハイテク企業の優勢が揺らぐとの懸念が拡がり、関連銘柄が一時的に調整したものの、その後の見直し買いなどから世界株式は上昇して月末を迎えました。
引き続き米国の政治・金融政策動向が注視される
2月は引き続き、米国の政策動向などが市場の主な焦点となりそうです。トランプ大統領は、不法移民対策、エネルギー政策の転換などを最優先事項に掲げ、就任直後から多くの大統領令を発表しています。また、一連の関税政策は、米国のインフレ圧力を高める上、報復関税の応酬となれば世界経済に大きな影響を与えかねないとして、市場の警戒感が高まっています。今後も様々な政策が発表されるとみられ、それらの動向に市場が振り回される展開が続きそうです。なお、7日にも日米首脳会談の開催が見込まれるほか、トランプ大統領は就任後100日以内の訪中に意欲を示したとの報道もあり、早期の米中首脳会談が実現する可能性もあります。
米FRB(連邦準備制度理事会)は1月末のFOMC(連邦公開市場委員会)において、市場の予想通り政策金利を据え置き、声明文では今後の利下げに慎重な姿勢を示しました。今後の金融政策の行方を見極める手掛かりとして、各経済指標やFOMC議事要旨の内容などが注目されます。
日米で決算発表が本格化
1月下旬以降、日米企業の2024年10-12月期決算発表が本格化しています。米国では、AI需要の拡大期待などを背景として、ハイテク企業を中心に引き続き高い増益率が見込まれています。なお、中国発AIの登場を受けてIT企業による巨額のAI投資に懐疑的な見方が浮上しており、決算発表の場で各社がそれらをどのように正当化するのかなど、経営陣の発言内容にも注目が集まっています。
日本でも、円安進行や値上げなどを背景に主要企業の増益基調が続くと予想されています。ただし、中国経済の低迷が業績の重石となるほか、米トランプ政権の関税政策を巡る警戒感なども収益見通しに影響を及ぼす可能性があります。
ドイツで総選挙が実施される
2年連続のマイナス成長となったドイツでは、23日に総選挙が実施されます。最大野党で保守陣営の「キリスト教民主・社会同盟」が勝利し、連立政権を樹立する可能性が高いとみられているものの、経済や安全保障を巡る各党の政策の隔たりは大きく、連立交渉の難航が予想されています。

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