2024年9月以降、5会合連続の利下げ
ECB(欧州中央銀行)は3月5・6日の政策理事会で、市場予想通り、5会合連続となる0.25ポイントの利下げを決定し、主要政策金利のうち、市場金利の下限となる「中銀預金金利」を2.50%としました。また、声明やラガルド総裁の会見では、金融政策は実質的に制約的でなくなりつつあるとの認識を示したほか、米国の関税政策などを背景に不確実性が強まっていると指摘し、今後、利下げを一時停止する可能性を示唆しました。
ユーロ圏市場では、ドイツの主要政党が、防衛費増額と成長回復に向け、財政拡張方針を採ることで4日に合意して以降、国債が売られていました。6日には、ECBの利下げが終盤に入ったとの見方が強まったこともあり、国債利回りは更に上昇しました。一方、長期金利の上昇を背景に銀行株が買われたほか、カナダやメキシコに対して米国が4日に関税を発動したものの、自動車については1ヵ月の猶予期間を設けたことから自動車関連株も買われ、さらに、ドイツでは拡張的な財政政策が経済を支えるとの期待などもあり、同国を中心に株式相場が上昇し、独DAX指数は最高値を更新しました。また、外国為替市場では、2024年11月以来のユーロ高・米ドル安水準となりました。
インフレ面の改善は順調だが、大きな不確実性も
ECBは、インフレ率が順調に改善していると改めて指摘しました。また、2%の物価目標の達成について、ラガルド総裁は、従来見通しの年内ではないものの、2026年の極めて早い時期になるとの見方を示しました。
ただし、同総裁は大きな不確実性を指摘しました。欧州では、ウクライナ支援や自国の防衛力強化に向け、ドイツに限らず、国防費の増額に向けた動きが拡がりつつあり、その進展によっては、経済成長が下支えされる可能性があります。一方で、米国が関税政策を推し進め、それに対する報復措置が拡がれば、経済成長が損なわれ、物価は押し上げられる可能性があります。
次回4月の会合では利下げ見送りとの見方も
ECBは、今後の利下げはデータ次第だとして、会合ごとに判断していく意向を示しています。短期金融市場では、次回4月の会合では利下げ見送りとの見方が強まったほか、年内にあと2回の利下げとの見方が後退しました。
![【図表】[左図]金利・為替の推移、[中央図]物価・賃金(前年比)の推移、[右図]PMIの推移](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-2076_01.jpg)
- ECBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
![【図表】[上図]年内の政策理事会の予定、[下図]ECBスタッフの経済見通し(25年3月時点)](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-2076_02.jpg)
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。