4月に入り、米国のトランプ大統領が貿易相手国に相互関税を課すと発表したことを機に投資家のリスク回避の動きが世界的に拡がり、株式相場は大きく調整しました。このように株式相場は、特定のイベントや各国の政策などによって短期的に大きく変動する可能性があります。しかし、中長期的には、各国の経済成長や個別企業の業績に連動した動きをする傾向にあると考えられています。

長期投資によって、リターンの安定化が期待される
一般的に、株式などへの投資を通じて資産運用を行なう場合、「長期・分散・積立」といったキーワードがポイントに挙げられることが多く、金融庁も投資の基本として取り上げています。このうち、「長期」がもたらすメリットについて、世界株式の過去のリターンを通じて確認してみます。世界株式の投資期間別リターンを表した【グラフA】を見ると、投資期間が長くなるほど、リターンがマイナスとなった期間(月数)の比率が小さくなっており、安定した収益獲得に繋がっていることが分かります。長期間投資を続けることによって、短期的な相場の上昇・下落が打ち消され合い、経済や企業の中長期的な成長の成果が投資リターンに反映されやすくなると考えられます。こうしたリターンの安定化が、長期投資によるメリットの1つと言えます。

タイミングを計った投資には大きなリスクも
先ほどとは別の観点で長期投資のメリットを考えてみます。【グラフB】では、2001年初から現在までの約25年間、世界株式への投資を継続した場合と、タイミングを計って売買した場合のリターンを表しています。具体的には、土日などを除く6,334日間における世界株式の推移(①)と、各年において日次リターンが最も高かった日(計25日分)を除いた場合の推移(②)を示しています。②を見ると、リターンを取り逃したのはわずか25日分にもかかわらず、全期間を通じての運用成果が①の半分にも満たない、かなり厳しい結果となっています。当然ながら、どの日に株価が上がるかは事前に分からないため、タイミングを計って短期売買を繰り返した場合、株価が大きく上昇する日のリターンを取り逃す可能性があります。こうした事態を避けるためにも、長期間市場に居続けることは、資産運用において重要なポイントとなります。

足元の金融市場では、米関税政策の動向などに対する警戒感が高まっており、今後も経済の先行き不透明感などから短期的に株価が大きく変動する可能性はあります。しかし、長期投資によるメリットを享受するために、「Stay Market」を意識してみてはいかがでしょうか。

【図表】[左図]【グラフA】世界株式の投資期間別リターン、[右図]【グラフB】世界株式 過去およそ25年間の推移
  • (信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
  • 世界株式:MSCI ACワールド指数(米ドルベース、配当込み)。
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
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