4月2日の米関税政策の発表以降、世界経済への影響が懸念され、世界の金融市場では不安定な展開が続いていますが、こうした中でも、ドイツ株の底堅さが目をひいています【グラフ①】。
投資先として再注目されるドイツ株
欧州はこれまで、ロシアのウクライナ侵攻などに伴なう高インフレや、独仏での政局不安などを背景に、景気停滞が続いてきました。特にドイツは、エネルギー価格の高騰に伴なう競争力の低下や自動車など製造業の不振などもあり、2年連続でのマイナス成長となりました。
しかしながら、安全保障環境の変化などを受けて、ドイツで、防衛費の増額や12年で5,000億ユーロ(約80兆円、1ユーロ=160円換算)に上るインフラ投資特別基金の創設などをすべく、緊縮財政を定めていた憲法の改正案が可決され、積極財政に転じたことなどが、景気の押し上げ期待につながりました。
この先、米関税政策による企業業績への影響に注意が必要ですが、ドイツ経済は25年にマイナス成長からの脱却が見込まれているほか、株価の相対的な割安感なども背景に、米国に集中していた資金のシフト先として、ドイツ株への注目が再び高まっています。
米国株との値動きの違いが見られる局面も
長期の観点から日米独の株式を見ると、これまでも、ドイツ株が米国株を上回る局面がありました【グラフ②】。両国は景気動向や通貨の値動きが異なる傾向にあり、また、ドイツは欧州最大の経済大国であることから、投資資金の地域分散先の一つとして選好されたと考えられます。なお、DAXは、優良企業40銘柄で構成されたドイツの株価指数であり、構成銘柄には、メルセデスベンツやBMWなどの自動車メーカーをはじめ、アディダス(スポーツ用品)やバイエル(医薬品)など、日本でも馴染みある企業が多く並びます。
世界株式投資は米国偏重となりがち
世界の株式市場では、市場規模や成長企業の多さなどから、米国株が大きな存在感を示す一方、その他の国の比率はわずかとなっています【グラフ③】。また、業種を見ると、世界株式はハイテクの比率が最も高い一方、DAXは製造業など資本財が最大業種となるなど、異なる特徴があります。
資産運用においては、特定の国・地域や業種の影響が過度にならないよう、分散を図ることが重要です。中長期的な値動きなども踏まえ、ドイツ株などの資産を組み合わせることは、リスク分散の観点から有効な手段と考えられます。
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