9月27日に自民党の総裁選挙が実施され、石破茂氏が新総裁に選出されました。1回目の投票では、積極財政を主張し日銀の利上げ姿勢ををけん制してきた高市早苗氏がトップとなったため、同日の国内株式市場の取引時間中には円安・株高の動きが強まりましたが、取引時間終了後に実施された決選投票で石破氏が勝利すると、一転して円高が急速に進行するとともに株価指数先物も急落しました。

また、週明け9月30日には、日経平均株価が5%近く値下がりするなど、総裁選の前後の株式市場は波乱の展開となりました。株式市場では、石破氏が財政健全化を重視し、金融所得課税の強化や法人税の増税について言及していたことなどに対する警戒感が強く、高市氏の当選への期待から株価が上昇していた反動もあって、売り圧力が強まったとみられます。

しかしその後、首相に就任した石破氏は、岸田政権が進めてきた経済政策を継承して貯蓄から投資への流れを推進することを強調し、日銀の植田総裁との会談後には利上げに慎重な姿勢を示したことなどから、過度な懸念は後退しつつあります。

今後1~2ヵ月は、10月27日に投開票の見通しとなった衆議院議員選挙や、11月5日(現地時間)投開票の米国大統領選挙、中東情勢などを受けて、短期的に株価が大きく変動する可能性もありますが、この間に発表される日本企業の決算では、堅調な業績推移が確認され、株主還元の拡充も進むとみられます。さらに、賃上げの効果による消費の改善や旺盛な設備投資需要を背景に国内景気が底堅く推移していることなどから、政治や地政学的なリスクによる株価変動は短期的なものにとどまり、徐々に企業業績を反映した動きに移行するものと考えています。

石破政権については、当初懸念されたような緊縮財政や増税を実施する可能性は低く、成長戦略を掲げてきた岸田政権の経済政策を継承するとみられます。また、石破首相が従来から重視していた、賃上げや地方創生、防災・防衛などに注力する可能性が高く、内需の拡大に一定の効果が期待できると考えています。特に、最低賃金の引き上げなどによって、物価と賃金の好循環によるデフレ経済からの脱却がより明確になることは、株式市場にとって大きなプラス要因になると考えられます。

マクロ経済の構造変化に対する政策の後押しが続く中で、事業構成の見直しや政策保有株式の売却など、企業による資本効率を意識した経営への変化の動きが加速しており、こうしたマクロ・ミクロ両面での経済の構造変化を背景に、日本株の中期的な上昇基調は維持されるものと考えています。

このような環境の中で、当ファンドでは企業の競争力に着目し、高い競争力を維持する企業や、事業構造改革によって競争力を高めている企業に投資する、基本方針に沿った運用を行ないます。当面は、日本経済のデフレ脱却の動きに伴ない業績の拡大が期待できる、建設、金融、不動産、小売などの内需関連企業に重点を置くとともに、中期的な成長が期待できる半導体・電子部品関連企業や、中小型の成長企業など注目し、バランスの取れたポートフォリオを構築します。しばらくの間、不安定な株価動向となることも想定されますが、個別企業の中期的な成長性と当面の業績動向を重視しながら、株価バリュエーションも考慮して機動的に対応することで、安定的なパフォーマンスの獲得をめざします。

<当ファンドの基準価額とTOPIX(東証株価指数)の推移>2017年1月4日~2024年9月30日
  • 基準価額(税引前分配金再投資ベース)およびTOPIXは、グラフ起点の基準価額(税引前分配金控除後)をもとに指数化しています。
  • 基準価額(税引前分配金再投資ベース)とは、税引前分配金を再投資したとして計算した理論上のものである点にご留意ください。
  • 基準価額は、信託報酬控除後の1万口当たりの値です。信託報酬の詳細につきましては、目論見書の「ファンドの費用」をご覧ください。
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