株式市場は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、大きく下落しています。今後の景気と企業収益に対する影響が強く懸念される中で、各国政府が感染拡大を抑えるための対策や景気支援策などを発動していますが、市場が落ち着きを取り戻すには至っていません。短期的には、変動の激しい市況環境が続く可能性が高いと考えていますが、中長期での投資を考えれば、優良な銘柄を安く買えるチャンスであると捉えることが出来ると考えています。以下で、株式市場の見通しと、当ファンドの投資戦略についてご説明させていただきます。

日本株の見通し

新型コロナウイルスについては未知の部分が多く、感染拡大がいつまで続くのか正確に予想することは困難ですが、多くの専門家の意見やSARS(重症急性呼吸器症候群)など過去の感染症の経緯、そして、中国において既に感染者の増加ペースが大幅に鈍化している状況などを踏まえると、日本国内では、4~6月期の間に収束に向かう可能性が高いとみられます。しかしながら、3月以降、欧米での感染者数が急増したことから、世界での収束は7~9月期までかかる可能性があります。これを前提とすると、日本のGDP成長率は10~12月期に続き、1~3月期もマイナス成長となる可能性が高いと考えられます。ただし、2003年に流行したSARS時の中国や、2011年の震災後の日本などの例を考慮すると、収束が見え始める段階での消費者のマインド回復ペースは比較的早く、5~6月には内需の底打ち感が出始める可能性が考えられます。外需については、中国で徐々に生産活動が回復し始めていることが下支え要因となるものの、欧米の消費と生産が回復するまでには時間を要するとみられることから、底打ち感が出始めるのは夏場以降にずれ込むと考えています

企業業績については、1~3月期の大幅な落ち込みは避けられず、4月末から5月中旬に発表される来期の業績予想も非常に慎重な見通しが示されると想定されます。しかしその後は、慎重な期初の見通しから、四半期ごとにやや上ぶれる基調で推移し、前年のハードルが低くなる10~12月期からは回復感が出始めるものと考えています。

当面の株価は、世界での感染拡大が続く中でボラティリティ(変動率)が高い不安定な状況が続くことが想定され、特に米国での感染拡大がさらに加速すれば、もう一段下落するリスクは十分に考えられます。ただし、日本株については、これまでの株価下落で、世界での感染拡大と、景気の大幅な悪化はある程度織り込んでいるとみられることや、3月中旬にはPBR(株価純資産倍率)が解散価値を示すとされる1倍を大きく下回り、配当利回りが3%を超えるなど、過去のショック時との比較でボトム圏を示唆する水準に到達したことなどから、ここからの下値余地は限定的と考えています。そして、変動率が高い状況が続きながらも、慎重な業績見通しの発表が株価に織り込まれる4月下旬から5月前半には株価の下げ止まり感が明確になり、欧米での感染者数の推移や四半期ごとの業績の上ぶれを確認しながら、徐々に上昇基調に回帰するものと考えています。

「ジパングの投資行動」

「ジパング」では、中期的な観点から、世界で高いシェアを持つ企業や、事業構造改革による 業績拡大が見込まれる企業、産業構造の変化を捉えて成長することが期待できる企業などに重点を置いた運用を行なっています。

新型コロナウイルスの感染拡大による市場変動に対応した投資行動としては、国内で感染者が確認された1月中旬以降、感染が拡大した場合に直接の影響が大きいと考えられた鉄道、小売、レジャーなどの関連銘柄の売却を進めました。また、世界経済の減速懸念を背景に金利が一段と低下する可能性が高まったことなどから、銀行の保有比率引き下げを行ないました。一方で、中期的な成長が期待される半導体関連銘柄や、安定した業績が見込まれる医療機器関連銘柄を買い付けたほか、従来から高いウエイトで保有していたITサービス関連銘柄については、感染拡大防止に向けたテレワークの増加に伴なう需要拡大が見込まれることから、さらに保有比率を高めました。

3月に入ってからは、世界的な株価の下落が加速したことに伴ない、機関投資家が株式の保有比率を引き下げる動きを加速させたことで、優良株が大きく下落する展開となりました。過去のショック時の経験から、このように需給関係が急速に悪化し、企業のクオリティーに関わらず売り込まれる局面では、中期的な成長性が高い銘柄を冷静に見極めて買い増していくことが、回復時に大きなリターンにつながると考え、経営の質が高い優良銘柄の押し目買いを積極的に行なっています。

今後も当面は、株価の変動が大きく不安定な動きが続くことが想定されますが、この局面をより良い銘柄を割安な株価水準で組み入れることが出来るチャンスととらえて、年後半に新型コロナウイルスの感染拡大が沈静化し、株式市場が落ち着きを取り戻す局面で大きなリターンを獲得することをめざし、ポートフォリオの構築を進めてまいります。

  • 上記は資料作成日(3月26日)の情報に基づくものであり、今後変更する可能性があります。