マイナス金利政策下の投資家ニーズ

2016年1月29日金曜日、日本銀行が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定しました。欧州ではすでにマイナス金利に突入していましたが、日本のマイナス金利政策の影響が私たちのETFビジネスにどのように出てくるのか想像がつきませんでした。おぼろげながらに投資家、特に機関投資家のリスクアセットへの投資態度が積極的になるか、なればいいなと思った程度でした。また、当時は、昨年の12月に日本銀行から打ち出された設備投資・人材投資に積極的な企業に投資するETF(上場日本経済貢献(1481))の開発にエネルギーの殆どがとられていた状況でした。

マイナス金利政策は2016年2月16日から実施となりましたが、投資家の利回りに対するニーズがたいへん強く、当社では、上場Jリート(1345)、上場高配当(1698)、上場高配当低ボラティリティ(1399)、上場外債(1677)といった配当利回りの高いETFを準備していましたが、投資家からの要望としては「配当は高く」「価格変動性は低く」で、上場高配当低ボラティリティ(1399)よりさらに価格変動性が低いものが望まれていました。ただし、流動性が高いということも強く望まれていました。

米国債ETF、上場米債の開発へ

流動性が高いといえば、日本国債や米国債ですが、日本国債は、数年前にETFを立ち上げようとしたところ、価格変動性が低すぎる、機関投資家は日本国債であれば十分に直接売買できるといった理由で、その立ち上げをあきらめた経緯がありました。一方、米国債は、直接売買できない機関投資家もいて、また、相応の利回りもあります。米国債ETFのアイディアについて、機関投資家にお聞きすると、かなり好感触です。というのも、利回り確保を目指して機関投資家は、米国債に投資する非上場の追加型投信から、特別分配金になるのを避けるため非上場の単位型投信へ投資の軸足を移していました。ただし、単位型投信は投資したいタイミングが選べないこともあり、特別分配金が無く、投資タイミングを選べるETFに期待が高かったのです。そこで5月をターゲットに立ち上げようとしたのですが、当初の立ち上げ資金の確保に苦戦しているところで、5月25日上場の上場日本経済貢献(1481)ETFの組成が忙しくなったこともあり、米国債ETFの開発は後回しになってしまいました。そのような状況の5月9日、他社が米国債7-10年 ETF(為替ヘッジあり)を立ち上げるニュースが流れました。やられたという思いと当初の立ち上げ資金の確保ができて羨ましいとの思いでした。

その後、いくつかの機関投資家のところに往訪した際、強く当社に米国債ETFを立ち上げてほしいとのご依頼を頂戴しました。しかしながら、英国のEU離脱、ドルの調達コストの急上昇から円ドル為替のヘッジコストの急上昇によって、信託報酬といったコストもかかることから為替ヘッジ付の米国債ETFの実質的な利回りがマイナスになる環境になってしまいました。

連動対象指数の利回り水準の推移(2010年1月29日~2016年6月30日)

  • ※2016年6月30日のETFの税込信託報酬を差し引いた指数利回りは▲0.06%。
  • ※信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。
  • ※グラフおよびデータは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。

投資家の強いニーズを受けて設定・上場へ

それでも機関投資家からは強く米国債ETFの立ち上げのご希望をいただきました。理由としては、米国債の市場の動きを機動的にとらえたいといったことや、以下のグラフにあるように、為替ヘッジあり/なしのETFを組み合わせて、リスクをコントロールしながら利回りを確保したいといったことでした。

ヘッジあり/なしの投資比率を変化させた場合、税込信託報酬を差し引いた指数利回りとリスクの推移

  • ※利回りは2016年6月30日の指数利回り。
  • ※リスクは2010年2月1日から2016年6月30日の実績(年率)。
  • ※信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。
  • ※グラフおよびデータは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。

為替ヘッジありを単体で投資した場合、利回りはマイナス(▲0.06%)になってしまいますが、50%:50%で組合せて投資すると、リスクは単体投資と同じ水準ながらも利回りは0.6%弱を確保できることになります。まさに分散投資の妙味といえます。

そして、この機関投資家の強いご要望が助け舟となって、当初の立ち上げ資金の確保することができ、設定・上場に進むことができました。投資家の皆様に支えられて仕事ができていると感じたとともに、投資家=お客様への感謝の念を忘れてはいけないと強く思いました。日興アセットは、引き続き投資家の皆様に役立てていただけるようなETFを設定・上場してゆきたいと思います。日興アセットのETF、上場インデックスファンドのご愛顧をお願いいたします。