9ヵ月ぶりの日興アセットの新ETF上場

新しい日興アセットマネジメントのETF、「上場インデックスファンド米国株式(ダウ平均)為替ヘッジあり」(2562)が3月18日に東京証券取引所に上場します。

ダウ平均に連動する投資信託やETFはいくつもありますが、しかしながら、東証上場のETFで、為替ヘッジ付きのダウ平均連動ETFとしては初めてのものになります。 円を保有する投資家が米国株に投資する場合、どうしても円ドル為替のリスクをとることになります。為替の影響を受けずに米国株式に投資したいという投資家のご要望が強く、日興アセットでは2018年8月に為替ヘッジ付きの米国株式ETF「上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジあり(2521)」を立ち上げて、ご好評をいただいております。しかしながら、投資家一般になじみのあるダウ平均に連動するETFのご要望が多く寄せられていたので、そのご要望にお応えするために、新ETFを立ち上げ、上場させていただくことになりました。

*米国の代表的な株価指数である『ダウ・ジョーンズ工業株価平均』の呼称については、新聞、テレビ、WEBのホームページなど各種メディアにおいて、『ニューヨーク・ダウ』、『NYダウ』、『ダウ工業株30種平均』など様々な名称が使用されています。本コラムにおいては、当該株価指数の略称を『ダウ平均』と、統一して記載しております。



ミッキーマウスETF?

アメリカ英語のスラングで「ミッキーマウス」というと、『ありふれた、陳腐な』という意味があるそうです。最初にダウ平均連動型ETFの立ち上げが検討の遡上に載せられたとき、この言葉を思い出してしまいました。前にも触れましたように、ダウ平均に連動する投資信託やETFはいくつもあります。当社のETF商品のラインナップを考える場合、米国株式に投資するETFとしては、S&P500のETF(上場S&P500米国株(1547)上場S&P500米国株(為替ヘッジあり)(2521))を先に立ち上げていました。日興アセットでは、日本株(上場TOPIX(1308)上場225(1330)等)、外国株(上場S&P500米国株(1547)上場S&P500米国株(為替ヘッジあり)(2521)等)、外国債券(上場米債(為替ヘッジなし)(1486)上場米債(為替ヘッジあり)(1487)等)、リート(上場Jリート(1345)上場Jリート(ミニ)(2552)等)を立ち上げており、組み合わせ分散投資の基本となるETFをラインアップしているので、さらに新しいアセットクラスのETFや新しい指数に連動するETFの開発・研究を続けています。そんな中での“ありふれた”ダウ平均のETFの組成案件で、“ミッキーマウスETF”と思われないだろうかと思いました。ちなみに、ダウ平均の採用銘柄にはウォルト・ディズニー・カンパニーが入っている*1のも、その言葉を思い出す何かしらの関連があったのかもしれません。

*1 2020年3月12日時点
※上記銘柄については、個別銘柄の取引を推奨するものでも、将来の組入れを保証するものでもありません。



ダウ平均の指数計算法

ETFの連動対象となるダウ平均の指数計算法は株価加重平均と言われますが、要は株価の単純平均(全採用銘柄の株価合計÷採用銘柄数)がベースになっています。指数としては連続性が必要なので、増資等のコーポレートアクションがある都度、その前後が等しくなるように「÷採用銘柄数」=除数を調整します(ダウ式修正)。この計算方法は130年以上も前に考案され、ダウ平均だけでなく日経平均にも使われている方法です。ダウ平均も日経平均も株価平均なので、値嵩株(株価の高い銘柄)の組入比率が高くなり、その価格の変化が指数に及ぼす影響が大きくなる特徴を持っています。



根強いダウ平均の認知

そもそも株式指数の開発目的は、株式市場全体の動きを把握するのが目的なので、本来は市場での存在感の高い銘柄、時価総額が大きな銘柄が多く組み入れられたほうが自然だと感じます。ダウ平均のような株価加重平均型の指数は、計算が容易なのでコンピューターシステムが発達していなかった時代の指数であり、コンピューターシステムが発達した現在、「株式指数は時価総額加重型であるべき」といった考え方もあります。私も、S&P500やTOPIXは時価総額加重型の指数であり、市場全体の動きを把握する指数としては本来好ましいものだと思っています。

ところで、昨今、新型コロナウイルスの問題で株式市場が大きく振らされていますが、報道や市場関係者は、相変わらずダウ平均や日経平均で株式市場を語っています。最初にデファクトスタンダード(事実上の標準)になったものがいかに強く、変えることが難しいことの証左かと思います。その脈絡から、ダウ平均に連動するETFを投資家が望むのも良く理解することができます。



海外資産に投資するETFでも東京時間の流動性を確保

そんな投資家のご要望にお応えするのが運用会社の責務だと考えています。ダウ平均であれば、米国株式市場が閉まっている東京時間でも、シカゴのダウ平均先物が売買されていますので、マーケットメイカーの協力があればETFの流動性が確保できます。あるマーケットメイカーからシードマネーの提供、かつ、市場流動性提供の確約を得たことから、投資家目線でのETFの質も確保できると判断しました。



ダウ平均の新ETFに投資=分散投資効果

さて、このダウ平均の新ETFに投資する効果、意味を過去の推移から見てみたいと思います。

次のグラフは、リーマンショック(2008年9月15日)の前の2007年12月末を基準にダウ平均(為替ヘッジ)、日経平均、TOPIXの推移を見たグラフです。

過去の指数の推移(2007年12月31日~2020年2月28日)

各指数の推移

※2007年12月31日を100として、公表値をもとに、日興アセットマネジメントが指数化しています。
※グラフおよびデータは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。

この期間では、結果として、ダウ平均(為替ヘッジ)が最も高いパフォーマンスになっていますが、そのパフォーマンスもさることながら、日経平均やTOPIXよりも比較的、価格変動性が低い傾向が見えます。この期間のダウ平均(為替ヘッジ)の価格変動性は、年率17.5%、日経平均が年率23.6%、TOPIXが21.7%となっています。また、値動きの違いからその相関係数を計算してみますと、ダウ平均(為替ヘッジ)と日経平均との間で0.53、ダウ平均(為替ヘッジ)とTOPIXとの間で0.55となっており、日経平均やTOPIXといった日本株式を保有している投資家が一定の割合を保有することで価格変動性が抑えられるといった分散投資効果が期待できます。

例えば、2007年12月31日~2020年2月28日の期間で、資金の100%を日経平均に投資している投資家が、20%の資金をダウ平均(為替ヘッジ)に向けることで、価格変動性(リスク)を年率23.6%から21%に減少させ、分配収益を除く価格リターンを55%から69%に引き上げることができることになります。

※上記はシミュレーションの結果であり、将来の運用成果などを約束するものではありません。

これらは、何分、過去のデータであって、将来の運用成果を約束するものではありませんが、ダウ平均に組み入れられている30銘柄は、米国のみならず世界を代表する優良銘柄です。この優良銘柄も、時代の流れ、経済環境の変化に合わせて入れ替えられていくことを勘案しますと、それらの優良企業が生み出す付加価値によって好ましい投資効果を期待してもいいのではないでしょうか。

このように見てみると、「上場インデックスファンド米国株式(ダウ平均)為替ヘッジあり」(2562)は、世界を代表する優良銘柄群投資ができるだけでなく、為替リスクを回避しつつ、機動的な売買が可能であり、他のアセットクラスとの分散投資効果も期待できるETFです。決してありふれたダウ平均連動型のETF=(ミッキーマウスETF)ではなく、とても便利な投資ツールとして活用いただけるのではないでしょうか。

引き続き日興アセットのETF上場インデックスファンドのご愛顧を宜しくお願いいたします。