あの鐘を鳴らすのはあなた―東証の鐘を鳴らすまでのあれこれ―新規上場編

「あの鐘を鳴らすのはあなた」シリーズは、普段なかなか知ることができないETF開発の裏側をご紹介するコンテンツです。今回は、ETFが東京証券取引所（以下、東証）に上場するまでの“あれこれ”です。

新しいETFが上場するまでには様々なステップがありますが、ETFは株式と同様に、証券取引所に上場している商品なので、東証に上場申請を行う必要があります。9月7日に東証へ上場予定の「上場インデックスファンド日経ESGリート（銘柄コード：2566）」について、上場までの道のりをご紹介します。

▶︎前回の「指数開発編」はこちらをご覧ください。

上場までのスケジュール

当社内で新しいETFを上場させることが決定すると、以下のようなスケジュールで準備を進めていくことになります。詳しく見ていきましょう。

上場までの標準的なスケジュール

出所：東京証券取引所「内国ETF・内国商品現物型ETFの上場の手引き（日本語版）」Ⅰ 上場審査　1．上場までのスケジュール

①上場申請の数週間前　東証への事前連絡

東証にはETF上場のガイドライン「内国ETF・内国商品現物型ETFの上場の手引き（日本語版）」（東証のページに移動します）があり、その内容にそって準備を進めていくことになります。この時点では、申請に必要な情報を整理し、当社が希望するスケジュールとともに東証に連絡します。事前申請から実際に上場申請を行うまでに確定してなければいけない項目として、信託報酬料率・iNAV配信の有無・現物型か金銭型か・シードマネーの拠出元と金額・ファンドの形式などがあります。

② 上場申請（7月20日）

確約書・約款・有価証券届出書・指標（ベンチマーク指数）に関する書類などを東証に提出します。すべての書類を合わせると100ページ以上の大作になります。指定参加者や受託銀行、指数算出会社などとやりとりをして書類を揃えます。交渉をしなければならないことも多く、事前に東証に連絡したスケジュールを睨みながら準備を進めます。通常は、準備した書類を直接東証に持っていくことが多いのですが、今回は新型コロナウィルスの影響もあり、すべて郵送で対応を行いました。送った資料が東証に無事に届いたか、そわそわしながら到着の連絡を待つこともありました。

③上場審査（上場申請から4週間程度）

上場申請後、東証から商品組成の意図やストラクチャーなどについて、書面での質問状や電話での問い合わせが来るので、それらに回答します。指数の特性、商品性、費用など幅広い内容に関して質問が来ます。

④上場承認、届出（8月17日）

上場審査を経て、当社から関東財務局に対して有価証券届出書の提出を行います。この届出が提出されたことを東証が確認し、ようやく上場承認が下ります。もし上場承認が下りなかった場合はここから先には進めません。この届出が受理されてから、中15日が経過した後に「有価証券届出」の効力が発生し、晴れてETFの設定ができるようになります。今回の場合であれば、8月17日届出、9月2日効力発生、9月3日設定というスケジュールになりました。

※効力発生は、原則として有価証券届出書が受理された日から中15日を経過した日、すなわち提出の翌日から起算して16日目になると金融商品取引法第8条にて定められています。

⑤ 新規上場（9月7日予定）

東証への事前連絡から約2ヵ月の時間をかけようやくETFの上場です。通常、新規上場の際には取引の初日に「新規上場セレモニー」が行われます。東証で上場通知書を受け取り、「あの鐘」をつくことができるのですが、残念ながら、今回は新型コロナウィルスの影響でそれも中止になってしまいました。

今回は鳴らせない「あの鐘」…。

今回のETFの上場にあたって、特に大変だったこと

今回の上場準備は、新型コロナの影響で、在宅勤務が推奨されていたタイミングだったので、私たち日興アセットのメンバーや関係機関の担当者も在宅勤務をされている方が多く、通常時であればスムーズに進む関係者とのやりとりに時間がかかってしまいました。今回だけでなく、毎回そうなのですが、新しいETFを上場させる際には多くの関係機関や部署が関わるため、どこかでスケジュールに遅れが出てしまうと多くの方に負担をかけてしまうことになります。今回は、新型コロナの影響で、普段のような対面でのやりとりができない状況で進めた上場申請でしたが、普段以上に社内の担当者や社外の関係者の方々と協力しながら、非対面でのツールを使って積極的にコミュニケーションを取って情報共有を行うことにより、できるだけスケジュールに影響がでないよう尽力しました。

上場インデックスファンド日経ESGリート（愛称：上場ESGリート）
銘柄コード：2566
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