【第9回】1時間目:「投資が必要」は本当に本当なのか?
5,000万円計画 年代別のコンセプト

5,000万円計画 年代別のコンセプト

  • 2019年03月11日

資産運用は若者のためだけのものではない

ところで、どうでもいい話で恐縮ですが、私は今年52歳です。50歳になってから急に同窓会とかが増えて、かつての同級生に会う機会が多くなってきました。そこで改めて思ったのが「あれれ、普通はこんな感じなのか」ということでした。何かと言うと、私の同級生の多くが、将来のお金のことについてほとんど何も考えないまま50歳になってしまっているように見えたんです。

きっとそこそこの給料をもらっていて、それなりに預貯金もありそうな52歳です。でも、今まで話してきたような「65歳で5,000万円を目指そう。そのために必要なリスクを前向きに取ってやろう」という意識をもって、計画的な資産運用をしているという話は今のところ聞いたことがありません。FXで儲けたとか、最近だとビットコインで損したとかの話はしているんです。競馬の話みたいに。私には「何の株が儲かるの?教えてよ」という質問ばかりです。

それも仕方ないことかもしれません。これまでの日本では、一度会社に入ったら転職することもクビになることもそうそうなく、一所懸命に勤めていれば老後資金は退職金の名目で会社が代わりにコツコツためてくれるようなシステムだったわけです。将来のお金を考えて自助努力の行動を起こす意識が生まれにくかったのは当然だったと言えます。

でも50代の私の同級生はもちろん、60歳の人も70歳の人も、今日ずっとお話している「前向きな作戦」としての資産運用をすべきだと、私は思います。実のところ、今の日本の投信残高の多くは60代と70代の人によって占められているんですが、どちらかと言うとそれは、お金に余裕のある一部のシニア層が、その一部の余裕資金を有効活用するために行なっている投資である場合が多く、「必要だから取るリスク」といった考え方で行なっている人は多くないように思います。

でも、終身雇用が前提だった企業の在り方がガラリと変わってしまったという事実は、私のような52歳だけでなく、既に年金を受け取り始めている世代にも間違いなく影響を与えます。ほとんどすべての人が、前向きなリスクの取り方で、その先の人生の選択肢を増やすチャレンジをする必要がある時代に、私達は入ったと考えるべきだと思います。

何だか小難しい言い方してしまいましたが、こういうのはどうでしょう。まずは現役世代向けコンセプトとして;

図:年代別 5,000万円計画


そしてシニア層には、「10年後にもう1,000万円」というご提案してみたいと思います。その方それぞれの事情に合った計画を立てるべきなのは言うまでもない話ですが、先ほどお話した「3,000万円の定期があるでしょ。減らなきゃいいの。減らなきゃ」という方に対しては、「使うというモノサシで測ると意外と使えない(20年間毎月取り崩そうとすると月13.8万円)」という事実をお知らせすると共に、これくらい楽しい作戦の立て方を提案してもいいのではないかなと思ってるんです。

60歳以降は「10年後にもう1,000万円」と考えてみる。


証券会社で営業をしている時に、よくお客様に「俺をいくつだと思ってるんだ。もう若くないんだから長期投資なんて関係ないよ」と言われました。でも、その方は誰が見ても長生きする気マンマンですし、証券取引をしているようなシニアの方はほぼ例外なく元気一杯でしたね。私、今ならその人達に「足元の株式取引は是非続けてもらったらいいと思いますが、お客様、それとは別のお金で『10年後にもう1,000万円計画』を一緒に考えてみませんか!」とご提案したいんですよね。

それは、お金持ちに遊ぶ資金を増やす提案をしたいという意味ではなく、その方の10年後の生活設計を一緒に考えた時に、今お持ちのお金は「使うというモノサシ」で測ってみると実は十分ではなく、インフレという敵もやってくるかもしれず、であればシニアの方であっても「将来の選択肢を増やすための前向きなリスクの取り方」をすべきだという提案です。その具体的なイメージが、「10年後にもう1,000万円計画」というわけです。もちろん「10年後にもう2,000万円計画」だっていいと思います。何だかワクワクしてきました。

5%と簡単に言ってしまったが…

1時間目のお話はそろそろ終わりです。「覚悟」だとか「人生の選択肢」だとか、何だか大げさな話ばかり聞かされたな、と思ってらっしゃるかもしれませんね。すみません、つい。ところで、今までいくつかシミュレーションをしましたが、その際ずっと「キリのよい5%で考えてみましょう」と言ってきました。もし今、目の前に定期預金のような「確定の5%」があれば、迷わずそれを買えば解決です。しかしそんな定期預金など無い以上、裏側にある何らかのリスクを負って「結果としての5%」を目指さざるを得ませんよね。「結果としての」とはどういう意味でしょうか。ちょっと分かりづらいですよね。次回以降で具体的に説明しましょう。

 セミナー実況中継 ~前を向く人の、投資信託~

※本記事は日興アセットマネジメントが「セミナー実況中継 ~前を向く人の、投資信託~」として出版した内容より抜粋したものです。

講師 今福 啓之

講師
今福 啓之(いまふく ひろゆき)

日興アセットマネジメント マーケティンググローバルヘッド
2008年2月に「日興AMファンドアカデミー」を開校、金融商品やサービスについてわかりやすくご説明することの重要性を深く認識し、長年にわたり投資に関する正しい知識を学んでいただけるようなプログラムを推進している。



●当資料は、日興アセットマネジメントが投資信託についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。
●掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。また記載内容の正確性を保証するものでもありません。
●投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。