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Q. もう高すぎますよね?
冷たいことを言うようだが、上がっていて買えない人は下がっても買えないものだ。
2020年の秋口から世界的に株価は好調で、「実体経済が新型コロナで悪いのにおかしい。バブルだ」と言いながら、買いたくても買えないまま「ジリジリ」としている人の声を聞くようになった。「実体経済が悪いのに」というニュースキャスターや評論家は確かに多いが、実際には何をもってそう言っているのかあやふやな場合が多い。何もなく印象論で言っている場合がほとんどかもしれない。
私はエコノミストではないので経済情勢について語る資格はない。それでも、航空会社や旅行業界や飲食業界が依然厳しい一方で、コロナ前を回復したり回復しようとしている業界も少なくないし、それは一部のIT企業だけでないことは知っている。
実際に世界最大の経済大国である米国の雇用や消費は、政府の懸命な刺激策の甲斐あって急ピッチで回復しており、同じく政府のトップダウンによっていち早く経済活動が活発化した中国の工場で生産したものが、米国の消費者向けに盛んに輸出されていたりしている。日本の製造業も同様だ。
もちろんコロナ禍の現状は深刻で、変異種にも要注意だ。しかし、そもそも株価は先を見るものであり、言ってみれば「人の想像力が及ぶ範囲」くらいまでの先を見て形成される。「想像できない悪夢」に見えた2020年の3月は恐ろしいくらいに株価は下がったが、第〇波が来ても世界各国は断固として手を打つのだろうと「想像」でき、やがてワクチンが行き渡れば世界が崩壊することはないのだろうという「想像」も、私たちはしている。
とはいえ、そうした意思ある楽観主義も行き過ぎると、ガツンと一発、肝を冷やすような下落に見舞われる可能性は大いにある。しかしそれを待っていても買えないし、すでに述べたように単なる印象論で「高すぎますよね?」と言い、下落したその日に買ってやろうなどと思うことは、単なるタイミング売買のギャンブル投資に足を突っ込もうとしていることに他ならない。
手元にお金があるなら始めること。「そうは言っても…」という人は毎月の積立の仕組みを使うか、自分で何回かに分ける「分けて買い」(日興アセット用語)をするといいだろう。ただ積立の場合は「1万円から」などと逃げずに、「少し痛いなあ」と思うくらいの金額での、自分にとっての「本気の積立」(日興アセット用語)でスタートすることをお勧めしておく。
本コラムは私が書きました。
今福 啓之(いまふく ひろゆき)
日興アセットマネジメント マーケティング共同グローバルヘッド。1990年野村證券入社。支店営業、研修部、金融法人部を経て2000年にフィデリティ投信入社。2007年に日興アセット入社。2014年ピクテ投信マーケティング担当執行役員を経て2016年より再び日興アセット。日本証券アナリスト協会検定会員、日本FP協会認定会員
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