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Q. いつ売ればいいんですか?


この質問を受けた時、「確かにそうだよな」と思った。私たち日興アセットも含め「始め方」に関する情報発信は皆一所懸命にやるが、「やめ方」に言及することは多くない。でも、日興アセット流に言えば、その答えは「目標額に達成した時」ということになる。安定型のファンドに徐々に移行させよ、とか定率で取り崩せといった技術論よりも大事なことだ。お金ができたのなら、それ以上無用なリスクなど取る必要はない。「お金を働かせよう」とか「長生きさせよう」といった、意味不明なイメージワードで考えない方がいい。

日興アセットの「オトナの七・五・三」で一番大事にしているコンセプトに、「“いくらにしたい”から始める資産運用」というのがある。人は皆、お金が一瞬でも減ってしまうリスクは大嫌いなのだから、「いくらにしたい」がないとリスクは取れないもの。今あるお金と充てられる期間を考えると(目標達成のための)必要利回りは5%だ、いや7%だ。だから自分はリスクを取らないといけないんだ―という「納得ずくのリスクテイク」(日興アセット用語)をしようじゃないか(相場がいいから買うとか悪いから売るとかじゃなくて)という話だ。

その考えに基づけば、「いくらにしたい」が達成された瞬間に、あなたは持っているファンドを全部売って銀行預金に戻せばよい。余計な欲を出して「いや、もうちょっと持っとこうかな」などと考えず、さっさと嫌いなリスクを取っていない安心の状態に戻すべきだ。

65歳で3,000万円を作っておこうと思って40歳で始めた「本気の投資」と「本気の積立」の甲斐あって、5年早く60歳で3,000万円ができたなら超ハッピーだ。あと5年も無駄なリスクを取る必要はなく、さっさと売ればよい。仮に銀行預金に戻した後に市場が絶好調で上がり続けたとしても、そんなものは見てはいけない。つい見てしまうのが人間だが(笑)。

しかし逆もあり得る。60歳の時点で〇〇ショックに見舞われてしまい、それまで2,500万円まで来ていた順調な状況から、一転3割減って1,800万円の時価評価に減ってしまった。これは悩ましいが「あと5年あるさ」と、これまた見ないフリの我慢をすべきだ。5年では足りないかもしれない。それなら目標の65歳を修正するか目標額を修正して、そこに働き方も含めた「自分の生き方を合わせにいく」しかない。人はある分でしか生きられないし、ある分以上の将来計画も立てられない。

本コラムは私が書きました。


今福 啓之(いまふく ひろゆき)

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日興アセットマネジメント マーケティング共同グローバルヘッド。1990年野村證券入社。支店営業、研修部、金融法人部を経て2000年にフィデリティ投信入社。2007年に日興アセット入社。2014年ピクテ投信マーケティング担当執行役員を経て2016年より再び日興アセット。日本証券アナリスト協会検定会員、日本FP協会認定会員


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