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Q. 5本までにダイエットします


先日の「オトナの七五三オンラインセミナー」で、50代の女性のJosephさんが「実は投信は以前から証券会社でやっていて、10本以上は持っているんです」と言った。初めての方向けを謳う当セミナーだが、毎回3分の1くらいはJosephさんのようにすでに始めている方だ。始めてはみたものの「これでいいのか?」、「本やネットにはこう書いてあるが本当か?」といった問題意識をお持ちの真剣な方々だ。

彼女に対して、「10本は多すぎる。数字に根拠はないが、5本以下へのダイエットをお勧めしたい」とお答えした。

まず、本数の前に大事なのは次の2点への認識だ。

その商品には何を担わせているのか
どんな時間軸でそれを担わせているのか

「そんなのお金を増やすという役割に決まってるし、時間軸って言ったって、そんなの早く増えるのがいいに決まってるじゃない」― と、彼女は言わなかったが、思ったかもしれない。しかし、そんな風に「早く増えてくれそうなもの」をその時々で買い集めていくと、あっという間に10本など超えてしまうだろう。

資産運用において「自分が何をしているか」を自身で腹落ちしていることは極めて重要だ。したがって個人的には、「質問に答えるだけでAIが最適な組み合わせを」といった商品やサービスは好きでない。預貯金も含めた全金融資産の「増殖力」をアップするために、どれくらいのボリュームをどういう役割分担でリスクにさらしていくのか、という主体的な思考がなければきっとうまく行かないと思うからだ。

● このファンドは、10年で3倍になるくらいの大きな期待をする、金融資産全体にとって期待大の「ターボエンジン」だ。

● このファンドは、10年で3倍とまでは言わないが株式市場の平均点を求めて持ち続ける「大黒柱的なエンジン」だ。

● 2つのエンジンよりも多くの金額を充てるこのファンドは、万が一の時に取り崩しても損が大きく出ないようなマイルドさの方がより重要な(大して増えなくて良い)、いわばエンジンを置くための「土台」だ。

土台と2つのエンジンには現在の預貯金の6割を振り向け、今後のフロー(給料)からの分はすべて2つのエンジンを積立で増やしていくことで、全金融資産の増殖力をアップさせよう。

例えば大きくこんな風に思考の大枠を作り、それぞれにせいぜい厳選1~2本を当てはめていけば、多くても5本程度には収まるだろう。とはいえ、身体もお金もダイエットは他人が言うほど簡単ではない。Josephさんの健闘を祈りたい。

本コラムは私が書きました。


今福 啓之(いまふく ひろゆき)

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日興アセットマネジメント マーケティング共同グローバルヘッド。1990年野村證券入社。支店営業、研修部、金融法人部を経て2000年にフィデリティ投信入社。2007年に日興アセット入社。2014年ピクテ投信マーケティング担当執行役員を経て2016年より再び日興アセット。日本証券アナリスト協会検定会員、日本FP協会認定会員


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