中間所得層の影響力

HSBCの試算によると、2025年までに中国の中間層人口は、10億人に達する見通しです。

中国における人口動態上の大きな飛躍は、偶然起こったわけではありません。中国政府の経済政策の最大の目標は、世界第2位の経済大国を2020年までに「全面的な小康社会」(ややゆとりのある社会)にすることです。

こうした中間層の大幅な増加は、すでに中国およびその経済を変貌させつつあります。

国民1人あたりGDPの増加を受け、自家用車や他の一般消費財を買う余裕のある消費者が増加しているなか、中国企業は、この巨大な国内消費市場を活かし、既に多くの業界で世界の主役の座に躍り出てきています。

ボストンコンサルティンググループによると、中国の消費は2020年まで年率9%ペースで拡大する見通しです。それを合計すると、消費市場の規模は55%増の6.5兆米ドルへと拡大、増加額は2.3兆米ドルと予測されています。例えるなら、現在のドイツまたは英国の1.3倍の規模の消費市場を新たに生み出すようなものです。しかも、それは中国のGDP成長率を政府予想の年率6.5~7%よりも低い同5.5%と想定した場合です。

中国と他主要国の消費の伸びの比較

  • 民間消費(2015年)
  • 消費増加額(2015~2020年)
  • 消費の伸び率(%)
出所: Economist Intelligence Unit, BCG Research, www.truewealthpublishing.asia