科学技術大国

2016年6月、中国は2030年までに世界の科学技術大国になるというビジョンを掲げました。

現在、中国のビジネスをリードしているのは、ファーウェイ・テクノロジーズなどのイノベーション企業です。ちなみに、中国の大手ハイテク企業である同社は、2017年の欧州での特許出願件数が世界最多でした。

また、自動車メーカーのBYD社の電気バスがロンドンの高頻度で運行する路線で採用されているほか、インドネシアのジャカルタとバンドン間を結ぶ高速鉄道の建設工事を中国が日本に競り勝って受注するなど、中国の他のテクノロジー企業も海外で受注契約を勝ち取っています。

イノベーションとは、尽きることのない経済発展の原動力である。

— 李克強首相

中国のインターネット関連企業大手のバイドゥ、アリババ、テンセントは、Eコマース、モバイル決済、ソーシャルメディア、オンライン・ゲームにおいて世界をリードしています。中国は世界全体のEコマース取引額の約40%超を占めています。

さらに先を見据える中国政府は、2017年、人工知能(AI)の分野で2030年までに世界のリーダーになるための詳細な計画を定めました。

中国政府の方針を受けてAIの分野やスタートアップ企業に向かう投資資金

  • 十億米ドル
出所: Yiou, Eurasia Group, Tencent, PeData, Zero2 IPO Group

AIの分野で世界首位の座を獲得するという目標よりも大きな挑戦として、中国の最高指導部はAIを中国経済の新たな成長源に位置づけています。

中国の起業家や投資家は様々な産業での活用が期待されるAIの巨大なビジネスチャンスに目を付けており、数え切れないほど存在するスタートアップ企業に多額の投資資金が流れ込んでいます。世界全体で262社存在する「ユニコーン企業」(企業価値10億ドル超のスタートアップ企業)の約3分の1が、中国発の企業であることもうなずけるでしょう。