初心者3分シリーズ:投信イチから編
分配金再投資コースでいいんですよね?
今福 啓之
日興アセットマネジメント
当「20年後ラボ」は「これから投資信託を始めよう」または「始めたけど自信ないんだよね」という人に向けて、投信メーカーならではのちゃんとした内容を、でも社員個人の考えを自由にカジュアルにお届けしたい、というサイトです。
・・・なのですが、どうしても皆、長くなりがち。そこで通常のコラムとは別に、3分で読めるくらいのショートシリーズを立ち上げました。さて短く書けますかどうか。
昨晩、長女からLINEがありました。私には娘が2人いて両方とも結婚して家を出ているのですが、就職が決まった直後から、とにかく投信積立をしつこく勧めており、実際始めていたようです。
その娘から、ボーナスが出たので投信を買いたいがどうしたら?と連絡が来て、やり取りをしていたのです。
このLINEにはビックリしました。彼女はこの「20年後ラボ」は読まずに、適当にネット検索をして間違った理解をしてしまっていたようです。
投資信託には「決算」というものがあり、決算時に分配金を支払うことがあります。最近人気の世界株式のファンドなどは年1回の決算はしますが、分配金をゼロ円とするものも多いようです。
ただ、絶対に理解してもらいたいのは、分配金を出すと必ずその分だけ自分の投資信託の保有資産額は減っている点です。「分配は投資信託側にやってもらう一部自動解約と同じ」と覚えておけばいいでしょう。
一方で、皆さんが使っている証券会社など金融機関のサービスには、「分配金が出たら預金口座に振り込んでください」という分配金受取コースと、「現金は不要なのですぐに同じ投資信託に戻し入れてください」という分配金再投資コースの2つがあって、買う時に必ずどちらかを選ばねばなりません。ファンド毎に。
彼女のLINEはそのことを言っています。もし分配金受取コースを選んで買ってしまっていたら、今はまだ要らない現金が返ってきてしまうのです。NISAだからこそ、現金回収などせずに最後の最後で非課税の恩恵を受けたいはずの彼女が選ぶべきは、「分配金再投資コース」です。
ところで、分配金を再投資するのは「複利効果のため」と言う人が多いのですが、違います。そもそも日々価格が動くだけの投資に複利効果の話を持ち込むべきではありません。
(複利効果について詳しく知りたい方はこちら)
先ほど言った通り、分配は一部解約と同じです。必ずその分だけ基準価額が下がっています。100万円が110万円に成長した時に決算があって1万円の分配金が出たとしたら、あなたの保有投資信託の価値は109万円になっています。預金のように110万円のまま1万円が振り込まれたらいいのですが、違います。
109万円になったところに分配金の1万円を戻してもそれは複利でも何でもありません。再投資により「分配がなかったのと同じ」にしただけです。
上がったり下がったりしながら、時に泣きたい気持ちに耐えながら、最終的にどれくらいまで上がったか、ただそれだけです。
娘も皆さんも、シンプルに考えてとことん長く持ち、最後の最後で大笑いしましょう。
今福 啓之
日興アセットマネジメント