▶ 投信の仕組み
❺ 基準価額の計算方法
1日1回算出される、投信の時価。日々のコスト負担も丸見えです。
今回のテーマは「基準価額」。
以前も当連載で少し触れましたが、基準価額は投資信託の「時価」にあたります。
基本的に1日に1回だけ算出され、日興アセットのような運用会社のWebサイトに夕方から夜にかけて掲載されます。
そして翌日の一部の新聞でも掲載されます。
株価が秒単位で刻々と変わることと比べると、ずいぶんとノンビリした仕組みですよね。
基準価額の計算方法は「資産」と「口数」との割り算。
1口当たり(一般的に10,000を掛けて表示されています。)の投信の時価が基準価額というわけです。
それではこの式を少し詳しく見ていきましょう。
まず、分子である「投信の資産」は毎営業日、証券取引所などで付いた最終値段を、保有している量と掛け合わせた「時価総額」として求めます。
もし海外資産が入っている場合は、海外市場での最終値(昨晩の米国市場など)に今日の10時の為替レート(一般的な公募投信の場合。ファンドオブファンズなどでは異なる為替適用ルールのものもあります)をかけて円換算するなどのルールに基づいて算出します。
分母は「保有者全員の口数の合計」です。
一般的なタイプの投信であれば、計算する今日にも買った人と売った人の両方がいるため、毎日変動します。
分母の口数と分子の資産の時価とが決まれば割り算ができますね。
しかしこれで終わり!ではなく、実際には信託報酬の1日分を「資産」から差し引いてから割り算をします。
それが「信託報酬」と呼ばれる、お客様の保有期間中ずっと日割りで徴収される手数料です。
割り算の前に引き算をするので、当然引く前よりも基準価額は下がっています。
つまり信託報酬とは、保有中のコストとして「毎日少しずつ基準価額を下げるかたち」で差し引かれ、関係する3社(販売会社・運用会社・受託銀行)で按分される手数料といえます。
※この3社については、「投信の仕組み①投資信託の役割分担」をご参照ください。
これ以外は損も得もすべてお客様のもの。
ある意味「ガラス張り」の商品といえるかもしれませんね。