「2人の娘とその夫」に送る資産形成の黄金律

第五話 預金でもいいけど、僕の20年の投信積立は参考になるはず(完結編)

公開日

今福 啓之

日興アセットマネジメント

ポイント

  • 積立が成功するためには「市場に居続けること」と「下がったら嬉しいのだ」という理解

  • 「経済は右肩上がり」であることへの信念が大事

では少し照れるが早速始めますか。投資信託(投信)の仕事で32年目の僕が、父親の最後のアドバイスとして結婚した娘とその夫2人にこんな話ができるのは、まぁありがたいことだよね。

僕の投信積立20年。すべては結果論だけど

さっきまでの話にどう感じただろう。
自分で話してて思うけど、でもこれってすべて結果論だよね。

もし日経平均が今も1万円あたりをウロウロしてるような日本株市場だったら、僕の積立元本1,440万円はまだマイナスなんだろう。まぁ口数は長いこと「絶賛増加中」だったので、今後ちょっとでも日本株が上がってくれればプラスになっていくんだろうけど。

前に「結局は運なのよ」みたいなこと言ったけど、あの時よりもその意味は伝わってるよね、きっと。
どれだけ過去のことを学んでも、どれだけ慎重にファンド選びをしても、これからの君たちの20年は僕のとは絶対同じにはならないし、予想もつかない。

でも僕の20年から学べることはあると思う。
投信積立が報われるための秘訣は、

  1. ① 株式市場にはとにかく“ボーっと”居続けること

  2. ② 「下がった時が嬉しいんだ!」という“やせ我慢”

という2つ。

仕事に集中して放っとけ、って話したけど、本当にそうしてほしい。
積立の初期設定であるファンド選びや、ボーナス時のアクションについては深く考えて決めてほしいんだけど、それが終わった後は本当に忘れたかのような過ごし方をしてほしい。

そのボーっとしたフリで放っておく「意志ある楽観主義」を貫くために持っておきたい理解が、僕の2度の暴落時の話だね。

つまり、投信積立において「下がっていることは実はいいことなんだ」、「最後に笑うために必要な、口数の溜め込みを今やってるんだ」っていう理解。

投資信託と付き合うための信念=経済は右肩上がり

ところで、20年どころじゃない長い世界経済の歩みに想いを馳せてみて思うのは、経済はずっと成長してきたという事実。

投信を使った資産形成って、この経済成長の力を賢く活かす試みだと思うんだけど、その前提として求められるのが「経済は右肩上がりだったし、今後もそうに違いない」という信念だと思う。
一人ひとりの投資がどうなるかは結果論でしかないわけだけど、経済自体は、そしてそれを反映する株式市場自体は、色んな「ショック」を結局は克服して、さらなる成長をしてきたよね。

それはなぜなんだろう。
僕らの欲には際限がないからだと思う。

昨日より貧しくなってもいいんだ、って人ばかりだと経済は成長しないだろうし、世界中が社会主義経済を唱え始めて、個々人がより良い暮らしを自分でつくりたいと努力しなくなったら、世界経済は成長しないと思う。

でも欲深い僕らはもっといいモノやサービスが欲しいし、それをビジネスチャンスととらえて企業は毎年新製品を出す。その背景には日進月歩の技術進化があって、欲しくなるモノはきっとこれからも、どんどん出てくる。

君たちの会社の社長さんだって、「今年の我が社の目標は現状維持です。頑張らなくていいです」なんて言わないよね。

企業は毎年売り上げや利益を増やしていこうとするし、僕らは去年よりも給料が上がってほしいと頑張る。
こういうことの集まりが経済だから、やっぱり全体としては右肩上がりで、だから株式市場も右肩上がりなんだよね。

ウチの会社が10年以上前から使っているグラフがある。これ。

IMF「World Economic Outlook Database, October 2023」および信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。世界株価指数はMSCI ACワールド指数(配当込、米ドルベース)。1987年12月末~2023年12月末。グラフ・データは過去のものおよび予想であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
世界の名目GDPの推移と世界株価指数を重ね合わせたグラフ。GDPの金額が右肩上がりで増大するのに歩調を合わせるように株価指数も上昇していっている様子が分かる。

世界のGDPの推移・予測と世界株式の推移

面グラフが世界のGDP、まぁ経済規模の総額で、線が全世界株式指数という世界全部の株式市場を指数化したもの。
これを重ねてみたわけ。もう明らかでしょ。

つまり経済規模はずーっと右肩上がりで増えているし、株価はそれとリンクして同じように動いてきた。

これ以上シンプルな関係性はないよね。

もちろん、僕の積立が苦境に陥ったスタート直後の2000年頃やリーマンの2008年頃は面グラフ自体が落ち込んでいるのがわかる。そして株価も落ち込んでいるよね。

でも世界経済は苦境を克服して前進し、株価もそれに先行するようにして上昇していった。
実際、これまで「常に」って言っていいくらいに、世界経済は色んな試練を受けてきたよね。誰も予想しなかったようなことが常に起こっている。起こりそうな火種も、そこここにたくさんある。

そういう試練が表面化すると、経済活動がスローダウンすることもあるだろうね。株価は何より真っ先に反応して下がるわ。間違いなく。

でもこれまでがそうだったように、政治も企業も最大限の努力と工夫をして、その試練を乗り越えるんだと思うよ。そして経済はまた、「右肩上がり」に回帰していく。

この面グラフは今後の経済成長の予想値まで入ってて、今後も経済は右肩上がりだと予想されている。先進国はもちろん、中国やインドなどの新興国がより成長すると予想されている。

株価の線の方はもちろん直近までしか描かれてないけど、経済がそうして成長していくと予想されるなら株価だって一緒に右肩上がりだと考えるのは、そう間違っていないと思う。

短期的には色んなニュースでアップダウンはあっても、ボーっと放っておけばいいじゃんって僕が思えてきたのには、こういう理解が腹の中にあったから。
そしてもうひとつは、しつこいけど「下がっても嬉しい」という積立の仕組みへの理解

でも一番大きかったのは、僕が本当に楽観主義者で、細かいようでいて面倒なことは嫌いないいかげんな性格だったからかもしれない。

積立の損益を毎日チェックしたり、下がった時に気に病んで何かアクションしようとしなかったのは、単に僕のズボラな性格のおかげかもしれない

今さら僕の性格なんか言わなくても、十分わかってるか。

今福 啓之

日興アセットマネジメント



当ページは、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。


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