2022/09/30 作成
Tracers 立ち上げ。そのコンセプトと背景は。
有賀 潤一郎(商品開発部長):
やっと整えられたのかな、という感じです。
「Tracers(トレイサーズ)」は、全く新しく作ったものというよりは、これまでやってきたこと、そして今後やりたいことなどを集約していける枠組みなのかなと。
金澤 拓也(商品開発部):
そうですね。「Tracers」は日興アセットのファンド開発の歴史そのものだと思います。それをいま、見える形にしてシリーズとしてまとめ始めたということです。
投資信託には大きく2つのカテゴリーがありますよね。ひとつは「アクティブファンド」、そしてもうひとつは「パッシブファンド」。パッシブファンドの中には、いわゆる指数に連動させていく「インデックス運用」と、ある決まったルールに基づき、それに逸脱することなく、つまりファンドマネージャーの見通しに基づく判断などを入れずに淡々と運用をしていく「ルールベース運用」*があります。「ルールベース運用」ってかなり業界用語ではありますが、当社はこの運用手法を活用して、これまでも様々な商品を作り世に送り出してきました。
*当社独自の考えに基づく分類であり、一般的な分類とは異なる場合があります。
有賀:
もちろん、まっさらな「インデックスファンド」も当社には数多くあります。しかし、その一方で、「ルールベース運用」って金澤さんが言いましたが、指数や先物などを使って「投信の箱」の中で別なものに仕立て直すような商品開発も行なってきました。それはこれからもやっていくことだと思います。
阿部 慎太郎(資産運用サポート部):
当社のファンドでは、最近では「グローバル3倍3分法ファンド」などがまさにそれですよね。他にも「グローバル5.5倍バランスファンド」も。資産配分について言えば「スマート・ファイブ」や「ファイン・ブレンド」もそうですね。「財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)」になると、それこそ15年以上前に設定されたファンドですが、これらはすべて「ルールベース運用」なんですよね。指数に縛られずに仕組みの力を使う「投信ならでは」の考え方は、日興アセットのファンド開発の大きな特徴だと思います。
リスク費用はこちら:
グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)
グローバル3倍3分法ファンド(隔月分配型)
グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型)
スマート・ファイブ(毎月決算型)
スマート・ファイブ(1年決算型)
ファイン・ブレンド(毎月分配型)
ファイン・ブレンド(資産成長型)
財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)毎月分配型
金澤:
商品開発担当として、この「ルールベース運用」の考え方に、今後の商品の拡がりとともに大きな可能性を感じています。「パッシブ型」と聞くと少し物足りないような感じがしたり、もしくはインデックスファンドのことかなと思ったりする方は多いのかなと。でも実はパッシブ型の選択肢って、もっと広くて、もっと柔軟なんです。
有賀:
ルールに基づき、まさに何かを「トレース」していく。そういった投信ならではの商品群をシリーズ化して並べていこうと。今回誕生したシリーズの「Tracers」という名前にはそういう意味合いが込められています。
阿部:
「投信ならでは」という考え方はすごく重要だと思っています。
運用会社として投資家に対して提供できる価値、提供すべき価値とは何か、と考えたときに、あらゆる情報の中から市場の大局を捉え、それを投資判断に活かしていくことだと思います。インデックス投資というのはある指数に連動するように運用していくものです。指数そのものに直接投資することはできないので、投信の形にパッケージして提供するのも運用会社の役割の一つです。一方で、私は創意工夫を加えたアイデアを投資信託の中に落とし込み、提供することに大きな意義を感じています。
金澤:
パッシブ運用でも投信の「箱」を使って様々なものが作れます。「こんなの欲しかった」とか「あったらいいな」、というアイデアをファンドの設計に取り入れて、ルール通りに運用していこうというのがTracersのコンセプトです。
アイデア自体はそれこそ膨大に出すことは可能かもしれませんが、一方でなんでも作ればよいというわけではありません。既存の指数に縛られることなく、当社ならではの独創的なアイデアを形にしていきたいと思います。
有賀:
独自に定めたルールに沿う(トレースする)「ルールベースファンド」だけでなく、指数に連動する(トレースする)「インデックスファンド」、どちらもTracersの候補です。商品ラインナップは厳選しつつも、世の中のニーズに合うような、そして長期の効率的な資産形成ツールとして投資家に選んでもらえるような魅力的なものを揃えていきたいと考えています。
なぜこのタイミングでシリーズ化?
有賀:
このような運用スタイルものをまとめてシリーズ化したいなというのは、実はずっと頭の中にあったんですけど、一方でそうする必要性が今までなかったのかもしれないですね。これまで金融機関の窓口などでファンドを購入される投資家の方が多かったので、私たちも1つ1つ魅力的な商品をつくり、証券会社や銀行などの販売会社の窓口でお取扱いいただき、それをお客様へご販売いただくということにフォーカスしていました。もちろんこれは今も変わらず大事なことです。
金澤:
そうですね。ただ、いまはまさにパラダイムシフトが起きていて、特に現役世代を中心に投資信託はネットで買うという方が多くなっています。その際、「このブランドの、このアセットクラスを買おう」、といった選び方をされている可能性があります。もし、「このブランドの」というところに投資家の方の第1段階の入り口があるのなら、“ブランド”ではない商品はそもそも相手に届きにくくなっているということです。そう考えると、ある程度似たコンセプトの商品を集めて、1つのブランドとして認知してもらう必要があるだろうというのが問題意識としてありました。
阿部:
Tracersはネット専用で展開していきます。ファンド選びでは「リターン優先」で考えていただきたいと思ってはいるものの、現状ではコストを重視する投資家の方たちがとても多いのも事実です。ネットで取引される方の中にはコストに敏感な方たちもたくさんいらっしゃいます。
有賀:
Tracersはルールに沿った運用なのでコストは相対的に抑えることができます。コスト意識の高い方にも、「Tracersというシリーズには指数も指数以外の商品もラインナップされていて、考え抜かれた面白いファンドを低コストで揃えているシリーズだな」と思っていただけるように育てていきたいと思いますね。
金澤:
今後、このTracersを通じて投資家の方一人一人に合ったものを、投資家の方ご自身に見つけていただくことで、選択肢というか、ファンド選びの可能性を拡げていただく機会を提供できるのではないかと思っています。そういう意味でも、このTracersは、今までにない付加価値を届けることができるのではないかなと考えています。
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