2023/08/04 作成

―その他の費⽤・⼿数料の諸費⽤上限を引き下げ

寺⽥ 純⼦(ETFビジネス開発部/資産運⽤サポート部):
2023年8⽉4⽇にTracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)の「その他の費⽤・⼿数料」で⽰している「諸費⽤」の上限を0.1%から0.03%に引き下げました。今回の変更は、インターネット経由での取引を前提としたTracersシリーズの特性を踏まえた上限への変更により、投資家の皆さまの利便性を向上させることが⽬的ですね。


2ファンドの保有中のコストの概要
(2023年8月4日以降)


Tracers
MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)

Tracers
グローバル3分法(おとなのバランス)

信託報酬

年率 0.05775%
税抜 0.0525%
(変更なし)

年率 0.1089%
税抜 0.099%
(変更なし)

その他の費用・手数料

諸費用

上限年率 0.1%

上限年率 0.03%

上限年率 0.1%

上限年率 0.03%

売買委託手数料

など

(変更なし)

(変更なし)


阿部 慎太郎(資産運用サポート部):
上限料率は0.1%から0.03%になりますが、商品性に変更はないんですよね。だから、すでにご購⼊いただいている投資家の皆さまに影響するものではありません。ただ、投資を検討されている⽅にとっては、今回の変更はとても意味のあることだと思っていて、私は「ビッグ・マイナー・チェンジだ」と⾔っています。

寺田:
「ビッグ・マイナー・チェンジ」は、阿部さんからしか聞かないフレーズですけどね。背景を知らない⼈にとっては、今回の変更の意図も分かりづらいかもしれません。ちなみに、変更のきっかけは、Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)に対する投資家の皆さまからのご意⾒だったんですよね?

阿部:
そうなんですよね。ファンドの投入を公表して以降、「上限0.1%が、実際の運用ではどれくらいに収まるのか分からない」ことを理由に、投資を見送る方がいらっしゃることが、SNSを見ていると分かってきました。

寺田:
あくまでも「上限」ですからね。1年程経てば、運用報告書に実際にかかったコストは開示されるので、「運用報告書が出るまでは待ちでOK」といったご意見もありました。

阿部:
来年からは新しいNISAも始まりますし、自信を持って投入したファンドなので、たくさんの方に利用していただきたいと思っていました。そう思っていただけに、こうしたご意見を見聞きした時には頭を抱えるとともに、何か打開策はないかと考えましたね。



―イメージしてもらいやすいコスト表示へ

寺田:
日興アセットでは、その他の費用・手数料の内訳として「諸費用」「売買委託手数料等」を設けています。今回は、「諸費用」の上限を引き下げることで、購入時の不安を和らげることを意図したんですよね。

阿部:
押さえておかないといけないのは、信託報酬やその他の費用・手数料にそれぞれ何を含めるかというのには特に決まりがなくて、各社が試行錯誤しているのが現状だということ。そして、日興アセットでは、2005年頃から運用を開始したファンドで「諸費用」とその上限を設ける運営を続けてきたんですよね。

寺田:
投資信託だけでなく、ETF(上場投資信託)についても同様の記載方針をとっていますよね。「信託報酬」は、委託会社・販売会社・受託会社の報酬にあたるもので、指数の標章使用料(ライセンス・フィー)や売買委託手数料などは「その他の費用・手数料」とするのが、日興アセットの考え方ですね。


保有中のコストの考え方のイメージ

その他の費用・
手数料

その他の費用・
手数料

諸費用

信託報酬

信託報酬

信託報酬
諸経費を賄う考え方
(日興アセット)

信託報酬
諸経費を賄う考え方
(例)

※上記はイメージです。ファンドによっては上記とは異なる場合があります。


阿部:
そうですね。こうした考え方の背景にあるのが、「運用の継続性も考えたコスト構造にすることが、安心して投資をしていただくためには必要」という想いなんですよね。確かに、さまざまな費用も含めて信託報酬にまとめた方が分かりやすくはなります。ただ、その場合は、運用にかかるコストの多くも信託報酬の中でやりくりしなければいけなくなるため、「運用会社の経営は大丈夫なの?」」といった、ファンドの運用成績などとは別の部分で投資家の皆さまに不安を抱かせてしまう可能性があると思うんですよね。

寺田:
諸費用を信託報酬の外に設けることは、関係会社が健全に継続的な運営を図るうえでの大切な要素と言えるかもしれませんね。今回は、この諸費用の上限を0.1%から0.03%に引き下げたわけですが、日興アセットでは2005年以降、ほとんどのファンドで上限を0.1%としてきたんですよね。


阿部:
2005年というと、まだインターネットでの投資信託の販売が今ほど活発ではなかった頃で、銀行や証券会社の窓口で印刷した目論見書や運用報告書をお受け取りいただくことが前提でした。だから、諸費用の上限には、余裕を持たせて0.1%とするものが多かったんですよね。

寺田:
Tracersシリーズについても、0.1%を上回らないことが見通せていたので、他のファンドと同様の水準にあわせたのですが、それが「最大料率の0.1%がかかる可能性もある」と投資家の皆さまには映ってしまったというわけですね。

阿部:
Tracersシリーズは、インターネットでの販売が前提なので、窓口販売を前提としたファンドよりもコストを抑えられるはずだし、投資家の皆さまのハードルはできるだけ下げた方がいいと思いました。結果的には、Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)の設定から3ヵ月程かかってしまいましたが、今回変更することによって、投資家の皆さまの疑問や不安を少しでも減らすことになると思います。


見直しを行なった2ファンドの諸費用上限

※諸費用はファンドによって異なります。


―長く保有をしていただきたいから
コストだけでなく、品質も磨きをかける

寺田:
3ヵ月程の間には、改めてコスト低減の余地を含めた検証や試算が行なわれて、諸費用のコスト低減の目途がついた部分もあったと聞きました。Tracersシリーズは、2022年8月にスタートしたばかりですが、今回の取り組みを通じて、シリーズとしての改良の余地がまだまだあるんだなとも感じましたね。

阿部:
そうですね。もともと、運用会社の社員としてではなく、私たち一人ひとりが個人投資家として「欲しい」と思えるものを目指したのがTracersシリーズです。運用ルールやコスト水準をこだわった設計にしたり、目論見書などでの表現方法も喧々諤々議論したりしましたが、今回は投資家の皆さまの声に気づかされた部分がありました。

寺田:
今回は、コスト面での改善がテーマになりましたが、これからは運用成果(パフォーマンス)に対する関心が高くなってくると思います。

阿部:
インデックスファンドの場合、ベンチマークである指数との連動性を高める要因になるコストの影響を無視することはできません。ただ、さまざまな運用会社が知恵を絞ってインデックスファンドのコスト低減が進んだ結果、パフォーマンスに占めるコストの影響力は小さくなってきていると思います。


インデックスファンドの
ベンチマークとのパフォーマンス乖離要因のイメージ

※上記はイメージです。


寺田:
インデックスファンドをはじめとたルールベース運用の場合、「ルールやコストがパフォーマンスのすべて」のように考える方がいるかもしれません。でも、指数との連動性を高めたり、ルール通りに忠実に運用するには、資金の出入りなどにも配慮したきめ細かな運用が欠かせないんですよね。

阿部:
こうした運用の「品質」については、各社がしのぎを削り、Tracersでも運用チームが常に磨きをかけてくれています。SNS上では、同じ指数に連動する複数のインデックスファンドのパフォーマンスを比較する方もいるように、コストだけでなくパフォーマンスへの関心も着実に高まっていると思います。


寺田:
新しいNISAのスタートや、来年4月からはじまる目論見書への総経費率の掲載など、これから投資をはじめようという方を後押しする動きがあります。投資を体験する人が増えてくると、私たちが当たり前だと思ってきたことが、実は分かりづらかったり不十分なものであったということも出てきそうです。

阿部:
関心を示すポイントは人によってさまざまでしょうからね。Tracersシリーズに興味・関心を抱いてくださる方もどんどん出てくると思うので、購入時や保有時のひっかかりを少しでも減らせるように、情報発信などには継続的に取り組んでいきたいですね。



Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)
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