2023/02/16 作成
―目新しさと納得感のある
投資家にとっても分かりやすい指数に注目
金澤 拓也(商品開発部):
Tracersシリーズ初のインデックスファンドなので、S&P500指数などのような代表的な指数とは違う、長期的なパフォーマンスが期待できるエッジが効いた指数がよいと皆で考えていました。そう社内で相談しているときに、お客さまの声を聴く機会も多い阿部さんたちから、「S&P500配当貴族指数はどうか?」という話がありましたよね。
阿部 慎太郎(資産運用サポート部):
そうですね。「高配当株式を使ってFIRE(経済的自立と早期退職を目標にする造語)する」というのが、少し前に話題になったので、「配当を切り口に考えるのは良いのでは?」という話になりました。ただ、単純に高配当だけに焦点を当てると、世にあるファンドとの違いを感じてもらえないとの意見がありました。そんな時、名称自体も面白いこの指数が候補に挙がったんです。
川名 翼(投信インフォメーション部):
名称は確かに面白いですよね。この指数自体、2005年5月(税引後配当込、米ドルベースは2014年5月)に算出が始まったのですが、当時もインパクトのある名前だなという印象を持ちました。
でも、それだけじゃなくて、指数の作られ方がS&P500指数とは違うという点は見逃せないポイントですよね。
阿部:
そうそう。算出開始当時も、目新しいだけじゃなくて、理にかなった指数だなって思ったのを覚えています。お馴染みのS&P500指数から銘柄は抽出されているのですが、「連続増配」に注目して、「均等配分で投資」するというのは、ユニークだなと。
金澤:
「25年以上連続増配」の企業で固めるというのは、米国市場だからこそできる手法だなと思います。他国でも連続増配企業は存在しますが、25年以上増配を続ける企業の数は米国ほど多くはないでしょうね。この指数は、時価総額や流動性にも基準を設けていますが、銘柄の時価総額は、平均で約907億米ドル(約11.8兆円。2022年12月末時点)もあります。流動性も十分にあるので、「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」は、インデックスファンドの新たな選択肢になると思います。
※S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社など信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
※25年以上連続で増配している企業の数が一定数を下回った場合には、連続増配年数が25年に満たない企業の株式も構成銘柄に追加される場合があります。
―連続増配企業は株主還元に前向き
投資家と同じ目線で経営される企業
川名:
高配当を聞いたことがある人はいても、連続増配ってそれほど馴染みがないかもしれませんね。S&P500配当貴族指数自体も、S&P500指数に比べると配当利回りが高いので、「高配当に注目した指数」と誤解する方がいるかもしれません。
金澤:
高配当が「その時の配当の水準」に注目しているのに対して、配当貴族は「増配の継続性・安定性」に注目しているというのが違いとして表現できますね。極端な例ですが、業績が低迷して株価が低空飛行を続けていても配当が高ければ高配当銘柄にはなり得ます。一方、連続増配は、そもそもの業績が継続して良くないとできないですよね。
阿部:
25年以上連続増配って、四半世紀前から配当を増やし続けていることですからね。簡単なことじゃないですよね。今(2023年)から数えると1998年よりも前ってことですから、ITバブルやリーマン・ショックなんかも乗り越えて増配を続けてきたわけです。その間、ずっと利益を成長させて、株主還元を続けてきたという企業姿勢はすごいと思います。
川名:
株主を向いた経営をしている企業が多いというのは、もともと米国企業に多い印象ですよね。
阿部:
そうそう。米国企業のCEOにとっては、株価を上げることが至上命題で、そのために新しい商品やサービスを作るっていう意識を持つ方が多いみたいですね。そして、それが配当や株価の上昇という形で、株主還元につながっている。「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」への投資は、「自分たち(投資家)のために頑張ってくれている企業を応援する」っていう気持ちの表明と言い換えることもできると思います。
―市場悪化時に下げに強い傾向の背景に生活必需品中心の偏りの少ない業種配分
川名:
S&P500指数を市場全体だと捉えると、S&P500配当貴族指数は、市場全体が下がる局面で踏ん張るディフェンシブな動きをしてきましたよね。長期的には配当利回りの高さなど、リターンの向上につながってくるというイメージはしやすいと思いますが、それ以上に下げ局面での強さにはインパクトがありますよね。
S&P500配当貴族指数とS&P500指数の年間騰落率
※両指数の価格特性の比較を目的とするため、米ドルベースの年次騰落率を使用
期間:2000年~2022年●S&P500配当貴族指数(税引後配当込み、米ドルベース)の算出開始日は2014年5月1日です。なお、算出開始日前のデータは、算出開始日における算出要領に基づき当該指数の開発元が試算した値であり、指数の実際のパフォーマンスではありません。●「S&P500配当貴族指数(税引後配当込み、米ドルベース)」はあくまで参考情報であり、当ファンドのベンチマークではありません。また、S&P500指数は参考として掲載したものであり、当ファンドのベンチマークではありません。●信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成●上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
阿部:
まず、時価総額加重平均で計算されるS&P500指数は、時価総額の大きな銘柄の動きに引っ張られやすいというのは強調しておきたい点ですね。だから、このグラフでも、それまで市場をリードしていたIT(情報技術)系の企業の落ち込みが大きかった、2000年初期のITバブルや2022年はS&P500指数は下落してしまった。
金澤:
確かに、構成銘柄の違いが大きく影響していますよね。業種を見てみると、値動きが大きくなりやすい情報技術が多いS&P500指数に対して、S&P500配当貴族指数は生活必需品が多い。相対的に業種の偏りが小さいのもS&P500配当貴族指数の特徴で、これがパフォーマンスにも現れているのでしょうね。
【ご参考】S&P500指数(左)とS&P500配当貴族指数(右)の業種別構成比
2022年12月末現在
※上記の業種は、世界産業分類基準(GICS)のセクター分類で表示しています。※四捨五入しているため、合計が100%とならない場合があります。※信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
川名:
市場全体の株価が上がっているところでは、同じ程度にS&P500配当貴族指数も上がっているというのは驚きです。
金澤:
業種の違いだけでなく、個別銘柄の配当利回りや財務健全性、均等配分という持ち方など、さまざまな要因が絡み合った結果じゃないかなと思います。景気が悪くなっても生活必需品の需要は極端に落ちないというのはありますが、景気が良くなる時はそういった企業の製品・サービスの需要も増えるというのはあるのでしょうね。
―もっと知ってほしい
いろいろな人に使ってほしい
阿部:
「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」の運用をスタートしてSNSでも結構話題になった時、すごく良いものができたなって思いました。それでも、まだまだ知られていないなって感じています。
金澤:
S&P500指数という圧倒的な強者がいるので、それ以外は知らないという人も結構多いですよね。名前は伏せますが、金融業界でも「配当貴族」というのは、「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」のために日興アセットが作った言葉だって思った人がいたみたいです(笑)。
川名:
指数の名称だけではなくて、ファンドの名前の後ろに「(米国株式)」ってわざわざ書いたのも、少しでも分かりやすくしたいっていう思いからでしたよね。同じ米国株式であってもS&P500指数などとは違う特性があるというのは大切なポイント。銘柄特性の分散を図るという考え方に基づいて、併せ持ちなども検討できそうですよ。
阿部:
先日、日興アセットが出展した個人投資家向けセミナーでアンケートを取ったのですが、回答してくださった100名強のうち半分程度が、「S&P500配当貴族指数を知っていた」との回答だったことに驚きました。10年前なら「S&P500指数を知らない」という人も多かったと思うので、資産運用がますます身近になってくると「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」ももっと知られてくると感じましたね。
金澤:
Tracersシリーズは、パッシブファンドということで、運用自体はすごくシンプルです。それに加えて、インターネット経由での情報提供や売買を前提に、できるだけ人を介さない設計にすることで、信託報酬率も低く抑えています。S&P500配当貴族指数に連動するファンドに低コストで投資できる点には大きな価値があると思います。
川名:
「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」は、魅力的な米国株式を厳選しながらも長期的に投資をしたいという投資家の皆さまにとっての「こんなの欲しかった!」を実現したものだと思うので、これからもいろいろな形で情報発信をして、もっと知ってもらいたいなと思います。
Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)
ファンドの詳細はこちら / リスク・費用はこちら
◀ 03_投資家に広く知られる「ブランド」を目指して |
TOP ↺ |
05_リスクに注目したバランスファンド ▶ |