2023/03/02 作成

―Tracers初のつみたてNISA適格
分かりやすさと納得感を大切にしたバランスファンド

岡 大輔(投信インフォメーション部):
Tracersシリーズ初のバランスファンド「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」が、2023年2月10日に設定されましたね。

奥村 崇(資産運用サポート部):
本当に「ついに」って感じ。最近よく聞く「株式ファンド100%で長期積立が万能」のような論調に疑問を持ったことが開発のきっかけで、それに一石を投じる意味のあるファンドだから感慨深いです。

有賀 潤一郎(商品開発部):
そうなんだよね。例えば、年齢を重ねてそんなに投資期間を取れないというシニア層や、すでにある程度まとまったお金があるミドル層の方にとっては、違った考え方をベースにしたファンドが必要とされているんじゃないかっていうのが始まりだった。

岡:
日興アセットでは、投信初心者の方を対象としたオンラインセミナー「オトナの七・五・三」を開催してきましたが、そこでもまとまったお金の置き場所に悩んでいるという参加者の方は少なくなかったそうです。


奥村:
「じゃあ、どんなファンド?」ってなり、そこからは頭を悩ませましたよね。バランスファンドが候補になったんですけど、世の中にバランスファンドって、すでに1,000本以上*1あるんですよね。そんな時、ネット証券の方から聞いた、「極端にリスクが低いものよりも、もう少しリスクを取って、でもリターンも期待できるというものは意外と少ない」という話は、「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」で目指す商品性を考えるうえで参考になりました。

*1 契約型公募投資信託における資産複合の本数は1,286本(2023年1月末時点)
出所:一般社団法人投資信託協会


岡:
確かに、「ある程度のリスクは許容するから、リターンも期待したい」という方は意外と多い気がしますね。それにしても運用の考え方自体がユニークなファンドですよね。特に「リスク・パリティ」を取り入れているという部分。「いくつかの資産を分けて持ちましょう」というのは、よく言われることですが、そのときの配分の仕方を「リスクの大きさに合わせる」というあたり。

有賀:
そうなんだよね。それぞれの資産が「ファンドにもたらすリスクの大きさが等しくなること」を目指すのが「リスク・パリティ」なんだけど、要は一つの資産の影響を極端に受けないようにするための考え方。株式やREITのリスクって債券よりも大きいものだから、その分だけ少なく持ちましょうっていうこと。「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」は、「株式20.0%、REIT13.3%、債券66.7%」を基本資産配分として、これを維持する運用をするんだよね。*2

*2 リスク・パリティを概ね実現するために、各資産の価格変動リスクおよび為替変動リスクについて、ファンド設定時点における過去長期間のデータを基に、日興アセットマネジメントが独自に各資産の組入比率を決定しました。なお、設定後の各資産の価格変動リスクおよび為替変動リスクの変化に応じた基本資産配分比率の変更は、原則として行ないません。


奥村:
投資家の皆さまから支持されている「つみたてNISA」の対象ファンドとなることも、ファンドを開発するときに絶対押さえたいポイントでした。「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」が、インデックスファンドを通じて株式・REIT・債券に投資しているのもそういう理由ですよね。

岡:
リスクに焦点を当てて決めた配分を、インデックスファンドで実現するっていうのは、かなりシンプルだし納得感がある気がします。インデックスファンドの組み合わせだから、低コストに仕上がっていますし。

奥村:
株式・REIT・債券って、代表的な資産で馴染みもあるものだと思うんですけど、もっと他の資産も入れるっていう考えはあったりするんですかね?あと、値動きもその時々で違うので配分を固定しちゃっていいのかなとか。

有賀:
確かにいろいろな資産を入れるっていうのも選択肢としてはあるよね。でも、「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」で目指したかったのは、つみたてNISAの要件を満たす最も広い分散投資だったから3資産にしたんだ。値動きの大きさは、今日・今週・今月っていう短い時間軸だと確かに全然変わってくるけど、長期だとある程度の水準で落ち着いてくるんだよね。長い目で見ると株式・REITは債券に比べてリスクが大きいし、株式・REITは債券とは違う動きをする傾向があることからも、この3つの相性はいいよね。

岡:
忘れたらいけないのは、株式・REIT・債券の比率は維持するけど、その中身の地域ごとの配分は、市場規模に応じて決めているっていうところ。時代の変化にも対応できるような配慮が感じられますよね。


―3つの資産だけどリスク要因は4つ?
リスクを考慮した考え抜かれたバランス

奥村:
シンプルなんだけど、この「リスク・パリティ」って考え方は奥が深いですよね。

有賀:
そうなんだよね。リスクを抑えようとするときに資産を分散するっていうのは基本で、株式や債券とか、国・地域って視点で分散を語られることは多いけど、「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」では、為替のリスクも意識しているというのもポイント。

岡:
この部分の表現は、本当に難しかったです。口頭だとなんとなく伝えられるんですけど、イメージ図を描くのに苦労しました。株式とREITの海外資産部分では為替リスクを取っているけど、債券では為替リスクを取らないっていうあたりとか。3つの資産に投資しているけど、為替も含めた4つのリスクの大きさを概ね均等にするとか。

※上記は「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」についてのご理解を深めていただくためのイメージであり、実際のリスク・リターンなどの運用成果を保証するものではありません。

有賀:
ここはしっかり伝えたかったところだったけど、本当に岡さんが試行錯誤してくれた。なぜ為替にこだわったかと言うと、為替リスクって案外見過ごされがちだからなんだよね。たとえば、世界全体に分散投資しようとした結果、外貨建ての比率が多くなり過ぎるみたいな。

奥村:
確かに。資産は分散したはずなのに、実はすごく為替リスクを取っていたみたいな。株式やREITといった資産クラスのリスクには目がいきやすいですが、去年のように為替が大きく動かない限りは為替リスクって陰に隠れてしまいがち。株式・REIT・債券だけじゃなくて、日本人がきちんと意識すべき4つ目のリスクとして、為替も正面から捉えたのが「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」ってことですね。

岡:
この図を初めて見た人は、株式とREITの一部には為替リスクがあるのに、債券にはないことを不思議に思うかもしれませんが、その背景にはこういった意図があるんですよね。株式・REIT・債券と為替のリスクが、パリティ(等価・同等)になるところを計算しに行った結果、資産毎の為替ヘッジの有無も決まっている。

有賀:
そうそう。それに、去年、株式と債券が同時に下落したといった話があったように、普段は逆に動きやすいものでも状況によっては同じ方向に動くことはあるんだよね。だから、資産を分散っていうよりも、為替も含めた「リスクの要因を分散する」っていう考え方は、改めて大切にしないといけない。

奥村:
この考え方は、ファンドのビジュアルにも表れていますよね。4つのリスクなんだから天秤は4皿でしょとか、3資産なんだから3皿でしょとか、どっちも正解だから社内でもパシッとは決まらなかった(笑)。

岡:
最終的には、4皿の天秤で1つだけ違う色にするというデザイン。リスクの大きさに注目した「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」らしい、色合いも含めてすごく落ち着いた仕上がりになりましたよね。すごく苦労しましたけど(笑)。

―「おとな」の投資家にも活用しやすい
いろいろな使い方を試していただきたい

岡:
Tracersシリーズ全般で言えることですけど、今回は特に、目論見書での表現の仕方にかなり頭を悩ませましたね。そもそも「おとな」っていう部分とか。

奥村:
投信って誰でも買えるものなので、「このファンドはこういう人にふさわしい」みたいなことは言いづらいんですが、今回は、「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」を「どういったスタンスで持っていただきたいか?」っていうところにこだわりましたよね。

岡:
さっき有賀さんが言ってくれたところが伝えたいところだったので、目論見書では、「まとまったお金」の振り向け先や「期間が限られた積立投資」っていう使い方を例として挙げました。


「おとなのバランス」とは?

リスクを相対的に低く抑えることを志向する当ファンドは、一般的な株式ファンドなどに比べて、ゆったりと落ち着いた(“おとな”の)スタンスで保有していただけるファンドとなることをめざしています。
それは、預貯金でコツコツと築いた「まとまったお金」を資産運用に振り向けたい、「期間が限られた積立投資」を行ないたいといった、いわゆる「おとな」の投資家にも活用しやすいバランス、「おとなのバランス」であると考えています。
※ファンド設定後は原則、基本資産配分比率を固定します。


有賀:
つみたてNISA適格のファンドだけど、積立投資しかダメってわけじゃないからね。積立投資の時よりも大きな金額を一度に投資したいって思った時とかの選択肢になってくるとうれしいよね。まとまったお金で買うから、おとな買いって感じ?

奥村:
おとな買いって、意味ちがいますよ(笑)。でも、このファンドは積立でも一括でも、どっちでも使えるってことは、これからお伝えしていきたいです。

岡:
たくさんの人に知ってもらいたいし、利用してほしいですよね。株式100%のファンドに投資をするのがすべての人にとっての正解では必ずしもないと思うので、バランスファンドを見直してもらうきっかけになればなと。「Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)」は、それだけ懐の深いおとなのようなファンドだと思います。


Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)
ファンドの詳細はこちらリスク・費用はこちら 


◀ 04_シリーズ初のインデックスファンド

TOP

06_王道のインデックスファンド ▶