ETFはどこで買える?
ETF取引のための証券会社のチェックポイント

ETFはどこで買える?ETF取引のための証券会社のチェックポイント

  • 最終更新日:2024年2月8日(公開日:2023年4月26日)

今井 幸英

筆者 今井 幸英(いまい こうえい)
ETFセンター・シニア・アドバイザー

1985年4月 株式会社日本興業銀行入社。みずほフィナンシャルグループ(みずほ総合研究所、興銀第一ライフ・アセットマネジメント(現 アセットマネジメントOne))を経て、2006年12月 日興アセットマネジメント株式会社に入社、2008年8月よりETFビジネスに従事。2020年11月から現職。2012年、2013年 武蔵大学経済学部 非常勤講師、2014年 学習院大学経済学部 非常勤講師。長い運用商品開発の経験を活かし、ETFの開発、ETFビジネスの推進活動を行っている。

[今井監修]ETFのキホンシリーズ

「ETFのキホン」シリーズでは投資家の皆様にETFを良く知っていただいて、より良く活用していただきたいとの思いで書かせていただいています。

さて、案外、多くのお問い合わせいただくのが「ETFはどこで買える?」ということです。さらに「おすすめの証券会社の選び方は?」と聞かれることもあります。現在はネットの時代ですので検索で調べる方も多いかと思います。ただし、「おすすめの証券会社の選び方」などで検索しても、自分に本当に合っているのか分からず、もやもやする方もいらっしゃると思います。正直なところ、どこの証券会社がおすすめなのかは言い難く、使ってみて判断していただくしかありません。しかしながら、ETF取引を理解することで判断しやすくなることもあるかと思いますので、証券会社を見る上でのチェックポイントについてまとめてみたいと思います。

まず、ETFは証券会社で買うことができます。東京証券取引所に上場しているETFであれば、どの証券会社からでも買えます。投資信託とは違ってETFは銀行では買うことができません。

※売買の委託注文を受け付けない特殊な証券会社もあります。

どうやってETFの売買取引をするの?

ETFを売買する場合、投資家は

  • 4桁の銘柄コード
  • 値段
  • 数量(100口とか)
  • 売り買いの別

を指定して証券会社に注文を出します。

通常は受渡時のトラブルを回避するため売買にかかわる資金と有価証券(ETF)を証券会社は事前に預かります。注文を受けた証券会社は、その注文を取引所に繋ぎます。取引所にはそのような注文が集まって、時間(早い順)、価格(売りは安い順、買いは高い順)の優先順位をつけて売り買いが付け合わされて売買が成立します。その売買結果が証券会社に伝えられ、証券会社はその約定結果を投資家に通知します。その売買が成立した2営業日後に資金とETFの受渡しが行われます。受け渡されたETFは、通常、売買注文を出した先の証券会社に預ける(保護預かり)ことになります。株式を売買したことがある方であれば、なんのことは無い、株式と全く同じなのです。
既に取引している証券会社があれば、そこに発注するだけなのですが、銀行口座は持っていても、証券取引口座を持っていない方も多いかと思います。そこで、どうやって証券会社を選ぶのか、どのような点を見たら良いのかといったことが問題になります。

証券会社の4つのチェックポイント

まずは、証券取引、ETF取引に何を考えないといけないのか整理してみたいと思います。
証券取引、ETF取引の一連の流れは以下のようになります。

証券取引、ETF取引の一連の流れ

このように整理すると証券会社のチェックポイントは情報提供、証券保管、売買執行になるのですが、さらに投資に便利なサービスという観点を加えて4つかと思います。

情報提供⇒銘柄選定(資産配分)

どの銘柄をどのくらい買ったら(売ったら)良いのかという問題はたいへん重要なことだということに異論は無いと思います。この判断に情報が欠かせないということから、対面式の証券会社からオンライン証券会社まで証券会社は様々な情報を収集して投資家に提供しています。投資セミナー、レポート、営業担当からの連絡等です。しかしながら最終的に投資判断は投資家自身が行わなければなりません。ご自身がその証券会社が提供する情報が信頼できるかといった観点で吟味する必要があります。ただし、情報を提供している証券会社も結果に責任が持てるものではありませんので、正直、このポイントは好みの問題と割り切って考えるのが良いかと思います。

証券保管⇒証券会社の健全性

大事な資産を預けること(保護預かり)になるので、経営状態が健全であることが大事なのは異論のない事だと思います。規制業種である証券業は様々な規制で顧客資産に害が及ばないようにしています。もし証券会社に万が一ということが起こっても、顧客資産の分別管理といって、証券会社の資産と混同しないように保管・管理される仕組みとなっていて、証券会社の資産差し押さえの影響が顧客資産に及ばないようになっています。しかしながら大事な資産は信頼の置ける会社に預けるという基本は変わらないと思います。

売買執行⇒発注し易い

売買注文を証券会社に発注する方法は、主に電話とか口頭で証券会社の営業担当者に伝える方法のほかにインターネットを介したオンラインによる発注があります。
営業担当者を介することによってサポートやアドバイスを受けることができる一方、電話が込み合うような場合、スムーズに発注できるかというようなことやセールスを受けて煩わしいということもあるかもしれません。オンライン発注は、何時でも発注できるので慣れれば便利ですが、投資家自身で判断、執行しなければいけません。
投資家個々人がどのような発注をするのが主になるか、証券会社の営業時間中に連絡がとれるか否かといった観点で、自分はどうなのだろうか、取引を考えている証券会社は売買注文が出し易い先なのかを考えてみる必要があります。 実際に使い始めないと、なかなか分からないのですが、いくつかの証券会社を使って、比較をしながら取引する証券会社を集約していくことも可能ですので、まずは証券取引を始めてみることが必要ではないでしょうか。

投資に便利なサービス

➀売買手数料
証券売買のときに売買委託手数料という証券会社に払う手数料があります。 証券会社によっては、ETFの売買手数料が無料などのキャンペーンや実施している場合や、料金体系によってはETFの売買が無料となる場合があります。
売買手数料が安いことを証券会社選択のポイントにされる投資家の方も多いかと思います。ネット上では売買手数料を比較、ランキングしたサイトも見られます。確かに、手数料は安いほうが良いという判断もあり、特に頻繁に売買をする投資家であれば手数料が安いことに着目するのは当然だと思います。ただ、長期投資で頻繁に売買しない投資家であれば有価証券を保管している証券会社の財務の健全性のほうが気になるかと思います。

➁貸株サービス
保有している株式やETFを貸し出すことによって貸株料が得られるサービスを提供している証券会社があります。付帯的な収益獲得のチャンスがあるのですが、貸付先の証券会社が破綻したときは、貸出株式・ETFが戻ってこない可能性があるなど、株式やETFの決算をまたいで貸し出した場合、受け取る分配金相当額の課税関係の処理に手間がかかることもあり、上級者向けのサービスになります。

➂海外ETFの売買
東証上場の国内ETFだけでなく海外ETFを売買したい、今後売買するかもしれない場合は、海外ETFの取引が可能な証券会社を選ぶ必要があります。しかし、海外ETFの取引が可能な証券会社は限られています。よって最初から海外ETFの取引が可能な証券会社を選ぶということもあるでしょうし、海外ETFの取引ができない証券で売買を始めた場合でも、後で必要になったら海外ETFの取引が可能な証券会社の利用を始めることもできます。

④ETFの積立投資
ETFの積立ができる会社もありますが、現在は非常に限られています。(2023年4月17日現在)

⑤小口での投資、ポイント投資など
最近では100円など少額からETFを購入できる証券会社やポイントで投資ができる証券会社もあります。

以上のサービスは証券会社によってまちまちです。このサービスの有無・優劣に拘泥すると、投資がなかなか始められないこともあるようですので、自分のしたい投資方法に必要なものがあるか、必須のサービスはどれかという観点で見ては如何でしょうか。

最近では100円など少額からETFを購入できる証券会社やポイントで投資ができる証券会社もあります。

日本の証券会社

2024年1月8日現在、日本には271社の証券会社(日本証券業協会会員会社)があります。
個人投資家がETF売買を行う証券口座を開設するとした場合、対面証券会社、インターネット専業証券の中から、前述の4つのポイントに照らして選ぶことになるかと思いますが、個々人の投資家が多様であるのと、前述のように証券会社もサービス競争をしていて様々ですし、必ずしも大手や人気のある証券会社が良いと言い切れるものでもありません。

証券取引の経験がない方向けに、ETF取引のための証券会社のチェックポイントをご説明させていただきました。良い証券会社はここと言い切ることは難しく、証券会社の良し悪しは使ってみないとわからないので、まずは始めて見ては如何でしょうか。

証券会社の良し悪しは使ってみないとわからないので、まずは始めて見ては如何でしょうか。

(以上)